新型コロナの「第二波」が懸念されるいま、高校生の様々なスポーツ大会が中止されている。それでも、高校生活は一度きり。落胆している子供たちを見るとなんて声を掛けていいか迷う。
渡辺美奈代さん(50才)さんもそんな思いを抱えている一人だ。
「3年生のショックはいかばかりでしょう。ご家族もお子さんにかける言葉がないだろうと考えると胸が痛くて…」
渡辺さんは、少年野球に打ち込んでいた2人の息子を持つ。当時は、週末になれば丸一日グラウンドに出て、飲み物の用意などのサポートに明け暮れる日々。地方での大会にもかけつけた。また、昨年は息子の元チームメートを応援するため、甲子園球場を訪れ、高校球児たちの姿に心を奪われたという。
「野球をやっていない子供たちもつらい目に遭っています。次男はいま、高校2年生で陸上部に入っていますが、インターハイが中止になり、『3年生の先輩のことを思うと悔しい。全部なくなってかわいそう』と話してくれました」
学校からの自粛要請で、ランニングなどの自主練習ができないこともあってか、次男は落ち込んだ様子だったとか。
「息子に『大きな目標がなくなってショックかもしれないけれど、高校だけで夢が終わるわけじゃないよ』と伝えました。最近では、表情も明るくなってきて、部活動の再開に向けて体力づくりを始めています」
いまこそ子供の悲しみを受け止め、「あなたなら、どんな困難も乗り越えられる」と背中を押す。それが大人の役割なのかもしれない。
※女性セブン2020年6月11日