美しい景色や壮大な大自然で、写真家の予測と準備、好天などの偶然が重なって名写真が生まれることがある。そうした“二度と撮れない”世界中の絶景をとらえた秘話を、写真とともに紹介する。
◆ウユニ塩原(ボリビア):撮影/野町和嘉
標高3700mに広がる「ウユニ塩原」は季節ごとに異なる表情を見せ、いつ撮影しても楽しい地です。この時は雨季を狙って訪れました。湖面に5cmほどたまった雨水が無風によって“天空の鏡”と化し、青空に絶妙なバランスで浮かぶ雲を映し出す瞬間をとらえることができました。
大雨で水かさが増え過ぎたり、風が吹いて波立ったりすると、このような鏡張りの絶景は撮ることができません。好条件が生んだ奇跡の情景です。
【プロフィール】のまち・かずよし/1946年、高知県生まれ。アフリカ、中近東など世界各地で過酷な風土を生き抜く人々の暮らしと信仰の姿を撮影してきた。2009年、紫綬褒章を受章。
◆スコーガフォスの滝(アイスランド):撮影/高砂淳二
アイスランドの南部に位置する「スコーガフォスの滝」や山に満天の星とオーロラが降り注ぐ夜の絶景です。ほのかな月の光が滝や山を照らし、幻想的な大自然を写し出すことができました。季節的にオーロラが出現するとは思っていなかったので、興奮しながら夢中でシャッターを切りました。滝は落差約60mあり、轟音が響く中、水しぶきで濡れるレンズを必死にふきながら撮影した思い出が甦ってきます。
【プロフィール】たかさご・じゅんじ/1962年、宮城県生まれ。世界各地を訪れ、海の中から生き物、風景、星空まで地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。