緊急事態宣言は解除されたからといって、不要不急の外出はできるだけ避けるべき。まだまだおうち時間を過ごさなければならないのだ…ということで、人生を豊かにする映画鑑賞でもいかがだろうか。作家の朝井リョウさんに「人生を変えた映画」を紹介してもらった。
◆人生を変えた映画
『PK ピーケイ』
Blu-ray&DVD好評発売中 Blu-ray 5200円/DVD 4200円
販売・発売元:株式会社ハピネット
【あらすじ】
インドのテレビ放送局で働くジャグーは、地下鉄で黄色いヘルメットを被り、大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男を見かける。「PK」と呼ばれるその男を取材し始めたジャグー。男の正体とは?
――この作品を見て、あなたの人生はどう変わりましたか?
「“DVDを大量に購入し、勝手に友人に送りつける”という行為をはじめて経験した作品です。エンタメ的な面白さとメッセージ性の強さをこんな風に両立できることを知り、自分も芸術性に逃げる形ではなく、広く届く小説を書いていきたいという気持ちが強くなりました。
“宗教とは何か?”という巨大なテーマが、終盤、ヒロインの個人的なエピソードに結実するシーンが特に印象的でした。映画を見ている私たちにとっても、遠く思えていたテーマが、グッと間近に迫ってくる切実さがたまりません。150分を超える長い作品ですが、それを感じさせないストーリー展開、日めくりカレンダーにしたい名セリフの数々、斬新な演出…何もかもが奇跡的な作品です」
――特におすすめのシーンやセリフは?
「“かけ間違い”というこのセリフが、まさに作品を貫く重要なキーワードであると見つけた監督の興奮が伝わってきます。また、“人間が神を守ろうとするなんておかしい”ということを訴えるシーンも、多神教の国に生きる監督が人生を通して手に入れた言葉と知り、震えました」
【プロフィール】
朝井リョウ(あさい・りょう)/1989年5月31日生まれの小説家。2009年に『桐島、部活やめるってよ』(集英社)で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。そのほかの著作に『チア男子!!』(集英社)、『何者』(新潮社)など。
※女性セブン2020年6月18日号