緊急事態宣言中、テレビ番組の撮影は軒並み延期、その代わりに、YouTubeチャンネルを開設する芸能人が続出した。チャンネル数は激増、内容も玉石混淆の芸能人チャンネルを、コラムニストの今井舞さんが斬る──。
* * *
ミステリアスな雰囲気をまき散らす意識高い系女優・柴咲コウ(38才)のチャンネルは『’LesTrois Graces’Channel(訳:3つの惠)』。
鉄板のフランス語による命名に膝を打たせてもらいました。“アース・コンシャス、ライフスタイル、エンターテインメント”って目指しているベクトルが意味不明。本人が滔々と「生きるという本質的な部分におけるコンセプトは…」って語ってたり。もはや友近(46才)や柳原可奈子(34才)がコントで演じるキャラにしか。
このチャンネル名は自身がプロデュースしたアパレルブランドの名前で、もちろん常にそこの服を着て登場。シンプルナチュラル系な服が好みなのかと思いきや、パフスリーブ多めの甘口寄り。服を見せるためにエプロンなしで、みそをこねたり、キムチを仕込んだり。
大事な商売道具の服が汚れやしないか心配でしたが、すべての動作がテンション低めでおとなしいので、いつも汁ひとつ飛ばずに全工程終了。
後ろに映りこむ美しく鎮座したガラス瓶には数年ものの手作り梅干しが仕込んであったり、時々お邪魔しに来るカワイイ猫ちゃんたちは保護猫だったり。もちろんそれについて本人が深く語るシーンもあり。1ミリの隙もなく演出されつくした柴咲ワールドが、窒息するまで延々と。
しかし、みそ・梅干し・キムチって、意識高い系ナチュラリストの人が手作りしたがる三種の神器みたいなモンなんですかね。これらをコネコネしているときの柴咲の恍惚とした表情といったら。
「オルグ」という言葉を久々に思い出しました。その天井知らずの意識はどこまでイッちゃうのか。皆で見守る、という意味で、チャンネル登録してあげた方がいいのかもしれません。
そんな柴咲の対極ともいえるのは、仲里依紗(30才)。とにかくやらされている感皆無で、見ている人も自分自身も楽しめる、エンジョイ動画を次々アップ。その自由な発想、実行力、リラックス感は、どこか所ジョージ(65才)に通じるものが。
ただシンプルに寝起きから朝のルーティンを映し続けたり、独特なセンスの私服を組み合わせてファッションショーを行ったり、突然ヤマンバギャルメイクに挑戦したり。実にのびのび楽しそう。しかもこのメイク技術がプロ顔負け。
また動画の撮影、編集も、全部独学で学び、自分ひとりで行っていたりと、すべてにおいてバイタリティーがすごい。
映えなど一切気にせず、ハラワタまで見せかねない、竹を割ったような潔さ。撮影・編集の技術も日々向上していて、新しいYouTuber誕生の萌芽を見守っている気分になります。
※女性セブン2020年6月18日号