新型コロナウイルス騒動では、雇用が脅かされる人も現れているが、営業自粛要請で一時解雇された場合、再雇用への確証を得ることはできるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
料理人です。今回の緊急事態宣言を受け、お店は閉店状態。そのためオーナーから、私を「一時解雇」したいと通達。問題は聞き慣れない「一時解雇」。つまり、店を開けられる状況になれば、再雇用したいそうです。この場合、オーナーとは口約束ではなく、書面でのやり取りを残しておいたほうがよいですか。
【回答】
一時解雇とは、あまり聞かない言葉です。似ている言葉としては、一時帰休があります。これは景気悪化で会社の仕事が減り、経営が困難になったときに、一時的に休業し、休業の間は休業補償を行ない、労働局長の認定を受けた一定の事業者には、国から休業補償の3分の2を上限付きで雇用調整助成金として支援するというものです。
今現在、コロナ感染の経済不況に伴い、制度拡充が図られていますが、複雑で使い勝手が悪く、利用を諦める事業主も多いと報じられています。
ご質問の一時解雇は、解雇するけども、条件が整えば再雇用するという趣旨だと思います。しかし、一旦は解雇ですから、雇用契約関係は終了します。再雇用について、何か月後といった時期を明示した約束であれば、確実にするため文書にしてもらうことは有効でしょう。ただし、景気がよくなったらとか、業績が向上したときといった条件では、達成基準が曖昧です。一筆もらっても、実際にはそれほど役に立たないと思います。