感染すると肺に大きな損傷を与える新型コロナウイルス。しかし、実際には、肺だけでなく、内臓や足の指先、脳内にいたる全身に深刻な損傷を与える。国内で発生した事例はショッキングだ。
「3月に山梨県で新型コロナに感染した20代男性が髄膜炎を発症し、コロナから回復して退院したのちも、この1~2年間の記憶を失った事例がありました。そのケースでは、コロナが脳に達して脳炎を引き起こした可能性が指摘されています。
埼玉県の60代男性も5月に集中治療室から出たのち、目は開いているけれど意識がもうろうとする『せん妄』を発症しました」(全国紙社会部記者)
新型コロナが直接脳に影響を及ぼす可能性は、海外でも指摘されている。
英ケンブリッジ大学で神経科学を研究するエド・ブルモア教授は、英インディペンデント紙(5月26日付)の取材に、新型コロナの患者には精神病の「気分障害」と「認知障害」が多くみられると主張した。
ブルモア教授はSARSのデータなども踏まえて、記憶障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、不安、不眠症などの精神医学的後遺症が、新型コロナから回復したのち数年先まで続く可能性があるとも語った。
日本でも同様の指摘がある。
「自治医科大学附属さいたま医療センターの医師の調査では、新型コロナで退院した患者の25%にPTSDやうつなどの精神症状が生じました。入院中の記憶が突然よみがえる『フラッシュバック』などの症状もみられたそうです」(前出・全国紙社会部記者)
新型コロナに感染して「右足」を失ったのは、ブロードウェイで活躍するアメリカ人俳優ニック・コーデロ氏だ。
4月上旬、集中治療室で治療を受けていたコーデロ氏の右足に異変が生じ、つま先への血流がストップした。さらに改善のため投薬された抗凝血剤が腸内出血を引き起こし、コーデロ氏は右足切断を余儀なくされた。
悲劇を生むもととなったのは、血の塊である「血栓」だ。
「新型コロナは血管の内側の細胞に侵入し、血を固めて血栓をつくります。その血栓が脳梗塞や心筋梗塞を引き起こし、突然死を招く可能性があります。コーデロさんの場合、右足に血栓ができて片足切断に追い込まれました」(現地在住のジャーナリスト)