国内

大前研一氏が指摘するマイナンバー制度の欠陥とあるべき姿

マイナンバーが役立つ日は来るのか

 国民全員への「10万円給付」に際して活用が期待されたマイナンバーカードだが、結果的に役所の窓口が大混乱するなど、想定通りの効果は期待できなかった。なぜ日本のマイナンバー制度はうまく活用できないのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

 * * *
 新型コロナウイルス禍への対応では、日本の行政のお粗末さが露呈したが、とりわけ混乱したのが「特別定額給付金10万円」のオンライン申請である。

 まず、申請に必要なマイナンバーカードの手続き(新規発行、暗証番号の再設定など)で市区町村の窓口に住民が殺到してフロアが密閉・密集・密接の「3密」になり、待ち時間が8時間を超えるケースもあったという。システム自体もアクセスの集中によって遅延やダウンが頻発したとも報じられている。そもそもオンライン申請の手続きなのに、わざわざ役所に足を運ばねばならないというのは、不合理の極みである。

 私は、1993年に上梓した『新・大前研一レポート』(講談社)の中で「国民データベース法」の制定を提案した。その内容は、国民一人一人が誕生した瞬間から個人情報―現在の戸籍のようなものから健康保険、年金、国家試験免許の有無、婚姻、納税、出入国情報など――をすべて生体認証を含めてデータベース化し、国家が一括して管理・保護する、というものだ。

 本連載でも、ことあるごとにマイナンバーシステムの欠陥を指摘し、本来あるべき国民データベースのかたちを提言してきたが、この機に改めてまとめると、従来は戸籍や住民票によって「家」「世帯」ごとに国民を登録・管理していたが、私が提唱する国民データベースは「国」と「個人」を直接結びつけるものだ。そして、戸籍や住民票をなくす代わりに、個人ごとの「リレーショナル(関係)データベース」を構築する。つまり、出生、結婚、出産、離婚、再婚など、個々人の時系列的な関係ができるたびに、それを登録していく。これによって、夫婦や親子などの家族関係がわかるし、先祖を何世代にもわたって辿ることも可能だ。

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン