どんな病気にも、苦痛はつきものだ。虫歯や片頭痛、花粉症のように、直接命にかかわらなくても、「死ぬほどつらい」思いをしたことはだれにでもあるだろう。しかし、本当に命にかかわる重要な器官が異常を起こしたとき、その苦痛は「死ぬよりつらい」という。
肺が機能しなければ、体に酸素を供給することができなくなり、多臓器不全となり、死に至る。多くの病気では、最後は肺炎になって亡くなるとも言われるのだ。
肺は、気管から気管支へとつながった末端にある臓器で、3億個ほどある風船状の「肺胞」で成り立っている。肺胞の隙間には血管やリンパ管があり、それらを支える組織を「間質」という。それぞれについて、「肺胞性肺炎」と「間質性肺炎」がある。単に「肺炎」と呼ぶときは前者を指すことが多い。また、新型コロナウイルスによる肺炎は「間質性肺炎」であることが多い。
ではどのような人が肺の病気になりやすいといえるのだろうか。東邦大学医療センター大橋病院教授で呼吸器内科医の松瀬厚人さんはこう話す。
「やはり高齢者はリスクが高い。老化によって体力も免疫機能も低下するので、菌やウイルスを排除したり、抵抗する力が弱くなるからです。また、基礎疾患としていろいろな持病を持つ人が多いことや、若い頃から喫煙習慣を続けている人も少なくないことが挙げられます」(松瀬さん)
では「まだ若いから安心」かといえば、そういうわけでもない。たとえ若年層であっても過度の疲労やストレスなど、条件が重なると肺炎になることがあるのだ。松瀬さんが続ける。
「実は私自身、20代の頃に肺炎になったことがあるんです。当直明けの睡眠不足の状態で露天風呂で騒いだ結果です。疲労と冷えが重なったからだと思いますが、呼吸困難になったうえ、咳が1週間ほど続いてとても苦しい思いをしました」
専門家の実体験だけに傾聴に値する。