コロナに関する緊急事態宣言も解除され、普段の生活が戻ってきたのは嬉しいものだが、その半面、心配になるのが感染リスク。どうしても外出しなければならない時に知っておくべきは、よく行くスポットには「感染しやすい席、しない席」があることだ。
株式会社環境シミュレーション代表取締役の阪田升氏が指摘する。
「天井に取り付けられた空調機器(天井カセット型)の場合、冷気を真横に出しますが、同時に人の呼気を含む室内の空気を真下から吸い込んでいます。オフィスの机や会議室で空調の真下にいると、空気の通り道になって感染リスクが高くなるため、避けたほうがよい」
理化学研究所所属で神戸大教授の坪倉誠氏の報告書では、対面するように机が配置されている場合、床から高さ140cm以上のパーテーションを設置すると、感染予防に役立つと結論づけている。それより低い場合は、ビニールシートなどで簡易パーテーションを設置するだけでも、予防効果を高められるという。
米疾病対策センター(CDC)が発表した中国・広州市のレストランでの集団感染を分析した論文は、エアコンの風の通り道に座った人には感染が広がったが、それ以外の座席に座った人には感染者が出なかったと報告した。この中国のレストランは換気が悪かったとされるが、換気が良いと思われがちな店舗の入口付近でも、空調の風の通り道は注意が必要だ。
「換気扇の真下」も警戒ポイントだという。
「天井カセット型の空調と同じ理屈で、換気扇の真下の席は店内の空気が通るため、感染リスクが高まる」(前出・阪田氏)
どの座席に座る際にもマスクを机の上に置いたり、椅子の裏を触ったりするとウイルスが付着するリスクがあるので注意が必要だ。
※週刊ポスト2020年6月26日号