前回の東京都知事選で「崖から飛び降りる覚悟で」と演説した彼女は、290万票超の得票で圧勝した。あの熱狂から4年。無風状態といわれた都知事選の風向きに変化が訪れ始めた──。
滑らかな堂々たる口調で、万能感溢れる雰囲気が一変、厳しい表情に変わる。緊張と動揺からか一瞬表情が揺らぐが、すぐ立て直す。久しぶりにマスクをとってのぞんだ小池百合子東京都知事(67才)の都知事選出馬会見。その“素顔”が垣間見えた瞬間だった。
7月5日投開票の都知事選で再選をめざす小池知事にふってわいた学歴詐称疑惑。5月末に発売された話題の書『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋刊)が発端となった。
「カイロ大学の卒業証書の原本を出すことは可能かという記者の質問に、正対して答えないまま会見は終わりました。小池知事が疑惑を否定した形ですが、長年にわたる取材を基に書かれた“真実”は無視するにはディテールがありすぎる。その証書が本物かどうかなど裁判をして紙の古さを確認するなどしない限り、もう誰にもわからない。このまま『女帝』が問題提起した『学歴詐称疑惑』は藪の中でしょうね」(都政担当記者)
小池知事が前回の都知事選に立候補したのは2016年6月。自民党東京都連の意向に背いて、いち早く出馬を表明した小池知事は、孤立無援の状態で選挙に挑んだ。
前回の都知事選で小池知事が一気に勢いを持った一幕がある。石原慎太郎元都知事から「大年増の厚化粧がいるんだな、これが」とこき下ろされたときのことだ。
「この発言に対し、小池さんは『顔のアザを隠すためです』と怯まず冷静に切り返しました。以降、『女性のコンプレックスを攻撃する旧態依然の男社会に立ち向かうヒロイン』という印象が小池さんにつきました。女性票を集め、都知事選の圧勝劇が生まれました」(前出・都政担当記者)
圧倒的なカリスマ性で支持を集めた小池知事。日本初の女性総理との呼び声も高く、“ガラスの天井”を初めて破るかと期待された。
だが『女帝』では、学歴に関する疑惑だけでなく、これまでのパブリックイメージを覆す半生が綴られている。
東京在住50代の女性は困惑してこう話す。