現在は千葉が本拠地のロッテだが、かつては川崎、さらにその昔は東京都内に本拠地を置いていた。当時のチーム名はオリオンズ。帽子にもドラマがある。約700点に上る野球帽の歴史を解説した『野球帽大図鑑』(著/綱島理友、イラスト/イワヰマサタカ。朝日新聞出版刊)から、ロッテの帽子にまつわるエピソードを紹介しよう。
1969年、東京オリオンズはロッテオリオンズにチーム名を変更する。このとき誕生したのがLOマークだった。1973年に金田正一がロッテの監督に就任すると、ユニフォームのデザインを変更。ブルーだった帽子は紺に変更され、マークの縁取りや空気穴などに赤が採用された。このデザインはロッテが川崎から千葉に移転する1991年まで19シーズン継続した。
しかしこの帽子、時代によって微妙にマークの形が違っている。現在では各球団の使用するデザインは厳密に管理されているが、当時は帽子メーカーが前年のマークを見ながら、見よう見まねで次の年のマークを刺繍していた。いわば伝言ゲームで言葉が変わっていくように、だんだんと形が変わっていったのである。
※週刊ポスト2020年6月26日号