世界最大規模の家電メーカー「美的集団(マイディア・グループ)」創業者で、総資産が推定248億ドル(約2兆6650億円)もの大富豪である何享健氏(77)が6月14日午後、中国広東省仏山市内の邸宅に押し入った5人組の男たちに監禁された。しかし、邸宅から逃れて、近くの川を泳いで渡った何氏の息子の通報を受けた警察が邸宅周辺を取り囲み、5人は翌日早朝あえなく逮捕されるという誘拐未遂事件があった。
邸宅には警備員2人が24時間体制で常駐していたほか、最先端の警備システムが設置され、犯人たちの行動が筒抜けになっていたなど無謀な犯行だった。ネット上では「白昼堂々押し入るなんて、コロナボケで、やけになった人間が増えているようだ」との書き込みがみられる。中国のオンラインニュースサイト「TMTポスト」などが報じた。
通報した何氏の息子は美的集団の取締役の1人・何剣鋒氏(55)で、何氏は警備システムの通報で、何者かが邸宅に侵入したことを知った。邸宅内に設置されている数台の監視カメラの映像によって、父親の何享健氏が賊に取り囲まれて拘束されているのが分かったという。
このため、剣鋒氏は裏口から外に出て、邸宅の近くを流れている幅5mほどの小川に飛び込んで、警察署に駆け込んだ。警察は緊急出動し、署内の警官が100人体制で、邸宅を取り囲んだ。邸宅の玄関脇にある警備員室で、邸宅内の動きをチェックし、賊が潜んでいる部屋を確認。爆発物を所持しているとみられる5人組が寝入ったのを見届けて、15日午前5時ごろ、警官隊が邸内に突入し、何享健氏を救出するとともに、5人を逮捕した。