ご飯を主食とする日本ならではの加工食品「ふりかけ」。自粛期間中は特にお世話になった家庭も多いのでは? 「ゆかり」でおなじみの「三島食品」のふりかけの売り上げは前年比で3月が120.9%、4月は111.1%、「のりたま」などが人気の「丸美屋食品」は、3~4月が前年比105%になるなど、ふりかけ全体の売り上げもアップしている。
日本で大正初期に考案されたといわれる「ふりかけ」。現在は、数え切れないほどの種類が販売されているが、「味のバリエーションが増え始めたのは5~6年前からではないか」と、国際ふりかけ協議会(*)代表理事の松江慎太郎さんは言う。
「『全国ふりかけグランプリ(*2)』を始めた2013年頃は、ご当地ものやコラボもの、ましてや、さまざまな食品の味をふりかけで再現するなど考えられませんでした。でも、フリーズドライなどの技術が向上し、素材や味付け、具材の組み合わせなどが豊富になり、多くの味が出回るようになったと考えられます」(松江さん)
(*1)国際ふりかけ協議会とは、地域振興や、栄養不足に苦しむASEAN諸国の子供たちへ「ふりかけ」の寄付活動を行っている団体。
(*2)全国ふりかけグランプリとは、国際ふりかけ協議会が熊本県で始め、ふりかけ業界の振興・発展と米の消費拡大を目的とした、全国のおいしいご当地ふりかけが集まるイベント。
◆日本のふりかけの元祖は「御飯の友」
多数のふりかけメーカーが加盟する「全国ふりかけ協会」によって、1994年に元祖と認定されたのが『御飯の友』。原材料の40%を占める「いりこ」をまるごと粉砕し、専用のしょうゆなどで味付けした100年以上続く味だ。発売当初の瓶を再現したパッケージの商品が発売中。『御飯の友 八角瓶』500円/36g/フタバ
◆三島食品のゆかり三姉妹に今年新たに妹が誕生。その名は『うめこ』!
三島食品の社長・末貞操氏に、とある社員から『カリカリ梅』を復活させたいとの相談があり、いくつかの案の中から2人の意見が一致したのが『うめこ』だった。そのときのイメージは演歌歌手だったとか。『うめこ』(カリカリ梅)12g、『ゆかり』(赤しそ)26g、『かおり』(青じそ)15g、『あかり』(ピリ辛たらこ)12g/各130円/三島食品
◆日本にふりかけが登場したのは大正時代
大正初期に薬剤師の吉丸末吉氏によって熊本県で考案された。当時の日本は食料不足の時代で、慢性的なカルシウム不足を補うために考えられた。
◆丸美屋の『のりたま』は旅館の朝食がヒント!
1960年に発売になった『のりたま』。丸美屋の創業者・阿部末吉氏が旅館の朝食に出されたのりと卵をヒントに、当時高価だったこの2つを「家庭で手軽に味わえないか」と、開発に着手した。
撮影/田中麻以
※女性セブン2020年7月9日号