6月末から自転車でほかの車両を妨害する“あおり運転”が危険行為の15番目に追加された。道路交通法では「自転車は車道を走るのが原則」とはいえ、いまだ「車道が怖いから」と歩道を通る人は相変わらず多い。問題はそのときの気持ち。「通らせていただきます」とちゃんと思って、行動してますか? “乗ったら軽車両、降りたら歩行者”の自転車は、加害者にも被害者にもなり得る危険な乗り物なのだ。
「自転車事故は6分32秒に1件起きており、年間でも3~7月に自転車事故が多く、梅雨は特に危険です」と言うのは、全日本交通安全協会・参与の長嶋良さん。
「なかでも、交差点の出会い頭事故が自転車事故の約半数を占め、見通しの悪い交差点、一時停止場所、信号交差点は自転車にとっての鬼門なのです」(長嶋さん)
梅雨どきに自転車事故が多いのは、雨で路面が滑り、ブレーキの効きも見通しも悪くなるという、事故が起きやすい条件がそろっているから。
とはいえ、警察庁「令和元年中の交通事故の発生状況」によると、自転車事故の数は減少傾向にあるが、全体に占める割合は横ばい状態のまま。さらに、ここ10年で交通事故件数は3割減少したが、自転車対歩行者の事故件数に関しては3割増加しているのが実状だ。
全交通事故に比べて減少率が低いのは、自動車ほど啓蒙活動や安全対策が徹底しておらず、利用ハードルが低く、高齢層など自転車の高リスク利用者の増加など、複数の要因が背景にあるためと考えられる。
シェアサイクルやフードデリバリーの利用率も上昇しており、自転車がますます注目を浴びそうなご時世。
自転車活用推進研究会理事長の小林成基さんは、「コロナ禍の影響で、電車より自転車での通勤・通学を希望する人が増えています」と語る。
NPO法人自転車活用推進研究会のデータ(枻出版社バイシクルクラブ編集部調べ、速報値)によると、全国でコロナ後に自転車を通勤・通学で利用している人は約半数だという。東京での調査では、コロナ前=自転車37.6%、電車51.1%だったのが、コロナ後=自転車が54.3%で電車を逆転し、自転車が通勤・通学の足に最も選びたい交通手段になっている。
※女性セブン2020年7月9日号