うっとうしい蚊の季節が到来。蚊について知れば、対抗策もわかるはず。ということで、蚊についての疑問を専門家にきいた。
Q. 年を取るとかゆみを感じにくくなるってホント?
A.刺された経験が多い人ほど年とともにかゆみを感じにくくなる
蚊は針の先端から、皮膚に唾液を注入する。唾液には、血が固まらないようにする成分が含まれており、この唾液に対して人はアレルギー反応を起こすため、刺された部分が膨らんだり、かゆくなったりするのだ。
害虫防除技術研究所所長の白井良和さんはこう説明する。
「刺されたときのアレルギー反応の出方は、年齢を追うごとに変わっていきます。新生児はかゆみに無反応で、乳幼児の多くは1~2日後にかゆくなる。幼児から青年にかけては、反応がゆっくりの人もいれば、すぐに出る人もいます。蚊に刺される回数が多い人ほど、すぐにかゆくなる傾向にあります。そして、青年から壮年にかけては、その逆で、蚊に刺された経験が多い人ほどかゆみを感じにくくなり、老年になると刺されてもかゆくなくなります。ちなみに、私は51才ですが、刺された経験が多いためか、初めはかゆくなって腫れますが、すぐにかゆみも腫れもなくなって、ぶり返しのかゆみを感じません」
最近刺されなくなったと感じる人は、刺されていてもかゆみを感じていないだけかもしれない。
Q. 冬はどうしているの?
A. ヒトスジシマカは卵で越冬、アカイエカは成虫で越冬する
「夜に吸血するアカイエカの寿命は長く、半年ほど生きるので、成虫で越冬します。冬でも飛び回ることがあり、12月でも刺されることがあります。一方ヒトスジシマカは卵から孵化した後、1か月程度で死んでしまうため、冬は卵で越冬し、暖かくなってから成虫になります」(白井さん)
Q. 蚊が吸った血からDNAが採れるってホント?
A. ホント! 日本でも2017年にDNA型鑑定の研究が成功
1993年に公開された映画『ジュラシック・パーク』では、樹液の化石に閉じ込められた蚊のお腹から、吸血したであろう恐竜の血を採取。そこからDNAを取り出し、恐竜を現代に復元させるシーンがあった。
実際日本でも2017年に、愛知県警科学捜査研究所の職員が、蚊の吸った血液をDNA型鑑定し、個人を識別する研究に成功した。通常、蚊が吸った血液は体内で消化され、DNAも分解されるが、48時間以内であれば個人を識別できる程度のDNAが残っているという。
ちなみに、映画の化石の中の蚊は、“オオカ”だとされる。オオカはメスでも花の蜜を餌とし、吸血しないといわれているため、DNA採取は無理。映画はあくまでフィクションということ?