2020年のプロ野球はオールスターゲームがなくなったが、特別な形で行われたのが1979年のオールスターゲーム。選手が「ピルボックス(薬箱)型」の帽子を被ってプレーしたのだ。同年のオールスターに選出された高橋慶彦氏(当時・広島)が、帽子について語る。
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僕がオールスターに初選出されたのは広島時代の1979年。帽子はピルボックス(薬箱)型で、3本線の入った特別なものでした。当時、MLBのピッツバーグ・パイレーツがかぶっていた帽子を真似たもので、周りからは珍しがられましたね。
ただ僕自身はあまり驚かなかったんです。というのも、1977年に米国の教育リーグに参加した時、当時のパイレーツ監督のチャック・タナーと知り合いになったこともあって、この帽子を見慣れていたからだと思います。
それにとにかく、メンバーの中で最年少ということもあって、帽子どころの騒ぎじゃなかった。周りは王さん、若松(勉)さん、高木守道さんと大先輩ばかりで、まあ大変でした(笑い)。先発はないだろうなとホテルのプールでのんびりしてから球場に入ると、いきなり先発だって言われて、びっくりした覚えがあります。
オールスターの帽子は出場後に貰えるんだけど、この時の帽子はどこかにいってしまった。今持っていたら結構な値がついただろうね。物は大事にしなければいけないってことですね。
インタビュー■松永多佳倫
※週刊ポスト2020年6月26日号