そろそろ蚊が、元気よく活動し始める季節だ。
「日本には100種類以上の蚊が生息していますが、私たちの身近にいて人間を吸血するのは主に、『ヒトスジシマカ』か『アカイエカ』のメスです」
こう教えてくれたのは、害虫防除技術研究所所長の白井良和さんだ。この2種は習性が異なるという。
「ヒトスジシマカは、体に白と黒のシマシマ模様があり、その名の通り、背中に一筋の白い線が入っています。朝から夕方にかけて活動する“昼の蚊”で、普段は屋外のやぶや茂みなどにじっと潜み、獲物(人や動物)が近くを通ったときにサッと現れて血を吸う、待ち伏せ型タイプ。『ヤブ蚊』とも呼ばれています。さらに、人が家に入るときに服などにくっついて一緒に入ってくることもあります」(白井さん・以下同)
日陰で風通しが悪く、湿気のある場所を好むため、本州以南で自然の多い公園や墓地、庭などで見かける蚊は、このヒトスジシマカが多いといえる。
一方、アカイエカ(赤家蚊)は“夜の蚊”。その名の通り、薄い赤茶色をしていて、夕方から夜にかけて活動する。
「日中は排水溝などのよどんだ水場に生息し、日が沈んでから血を求めて探索活動を開始します。人の気配を求め、屋外から屋内に侵入し、就寝中に人の血を吸うのが特徴です。寝ているときに耳元で、プ~ンという羽音が聞こえてきたら、アカイエカに狙われていると思っていいでしょう」