7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子氏の“圧勝再選ムード”でつまらない──そう決めつけていないだろうか。実は、新聞やテレビが「主要5候補」としか報じない裏では、史上最多となる22人が名乗りをあげている。その“あまりに個性的な選挙活動”に、ノンフィクションライターの柳川悠二氏が密着した。(文中敬称略)
◆「伝えたいことは、えーっと…」
令和2年の都知事選には、過去最多となる22人が立候補している。現職の小池に、野党3党の支援を受ける元日弁連会長・宇都宮健児(73)、れいわ新撰組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)にこの立花を加えた5人が大手メディアが「主要候補」とする候補者だ。
立候補者の中には、街頭演説などの選挙活動をしない者もいる。
薬剤師の長澤育弘(34)は“へそくり”から供託金300万円(有効投票総数の10分の1を得られなければ没収)やポスター代を用立てた。
「家族は呆れています。私は処方箋なしで薬を売る零売という業態が医療費の削減につながるということを政見放送でアピールしたかった。主要5候補の人たちに次ぐくらいの注目を集められれば、私の目的は達成だと思います」
「1位じゃなければダメ」な選挙戦で、いわば“6位落選狙い”を公言するのである。