相次ぐスキャンダルで安倍政権の基盤が大きく揺らいでいるにもかかわらず、新聞やテレビの報道には、どこか釈然としないものがある。「内閣支持率」の数字は、調査を実施するメディアによって大きく異なり、“そんな数字になるのか?”と首を傾げたくなるものもあるからだ。折しも、調査を巡る大規模な不正も発覚。安倍政権がよすがとしてきた「世論調査の支持率」とは、一体何なのか。
◆架空の回答を入力
この数か月に安倍政権の不祥事がどれだけ続いたか。1月の桜を見る会疑惑とカジノ汚職に始まり、新型コロナの感染が拡大していた3月末には、国民に外出自粛を呼びかける中でファーストレディの昭恵夫人が“私的な桜を見る会”を開いていたことが発覚。5月は検察庁法改正に国民の批判が沸騰し、渦中の黒川弘務・東京高検検事長は賭け麻雀問題で辞任した。河井克行・前法相夫妻の選挙買収事件の捜査も進展。6月には河井夫妻逮捕に加えて、コロナ対策の「持続化給付金」の中抜き問題が噴出した。
国民に政治不信を深めている中、世論はどう反応するのか――そんな折に明るみに出たのが、世論調査の「不正」「データ捏造」だった。
産経新聞とフジテレビの系列局が加盟するFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、調査業務を孫請けした会社の社員が、調査対象に電話をかけずに自分で架空の回答を入力していたことが発覚したのだ。
産経新聞とフジは問題の会社に業務を委託していた昨年5月から今年5月の期間に合計14回の世論調査を実施。合計約2500件のサンプル(回答)に不正があったとして、14回分すべての世論調査の記事や関連放送を削除し、取り消すと発表した。その中には、昨年7月の参院選の投票行動に影響を与えたと考えられる調査も含まれている。