オープン戦から、今年はボールが異常に飛ぶ、と選手の間でも話題になっていたほどホームランが次々と誕生している2020年のプロ野球。ボールをめぐる“謎”はさておき開幕から打高投低の試合が続いているのは紛れもない現実。
打撃成績を見ると、セは巨人の岡本和真ら4割打者が4人、3割打者が14人もいる(成績は6月29日時点、以下同)。パも4割打者が2人、3割打者が12人。内川聖一から正一塁手を奪ったソフトバンク(SB)・栗原陵矢ら新顔も含まれる。
セ3球団で4番を打った広澤克実氏は岡本の成長を絶賛する。
「チャンスでの強さが際立っている。バッテリーは攻める穴が見当たらない」
前SBヘッドコーチの達川光男氏は「令和初の三冠王」も夢ではないと語る。
「覚醒した岡本は一発だけを狙っていないからね。熱帯夜のマツダスタジアムや甲子園があるセは投手がしんどい。さらに、セは今年CSがないからどのチームも優勝狙い。上位チームの主砲との勝負は不可欠となり、上位進出が期待できる岡本や広島の鈴木(誠也)は勝負してもらえる場面が増え、三冠王の可能性は十分にある。打率は試合数が少ないので4割近辺でのタイトル争いになるじゃろう」
パでは2015年にNPB初のトリプルスリーと首位打者を同時達成したSBの柳田悠岐が期待大。
「ヤクルトの山田哲人の三度のトリプルスリーは後ろを打っていたバレンティン(今年からSBに移籍)の影響も大きい。バレは外の球に強いから捕手は二塁への送球がやりづらく、柳田は盗塁しやすくなるし、バレが本来の調子を取り戻し始めたことで、柳田と勝負をしなければならなくなる。トリプルスリーと三冠王の同時受賞もあると思うよ」(達川氏)
※週刊ポスト2020年7月10・17日号