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巨人キラー・川崎憲次郎氏が振り返る「野村ヤクルトと巨人戦」

右投手ながら左の強打者が居並ぶ巨人打線をどう抑えたのか(川崎憲次郎投手。時事通信フォト)

 巨人を倒さなければ、優勝はない──。セ・リーグの歴史を振り返ると、明確な事実が浮かび上がってくる。1950年の2リーグ分裂後、昨年までの70シーズンで巨人以外の優勝チームは延べ33。そのうち21チームはその年の巨人戦に勝ち越し、2チームは五分の成績に持ち込んでいる。負け越した10チームでも、7チームは借金2以内に抑えている。そうした中で徹底して『打倒・巨人』を掲げ、見事に遂行したのはヤクルトの野村克也監督(享年84)だった。

 10年ごとの年代別優勝回数を調べると、巨人は1950年代から2010年代までの7つの年代のうち6つでトップに輝いている。しかし、1990年代だけ唯一、ヤクルトに後塵を拝した。1990年に就任した野村監督のもと、ヤクルトは優勝4回を成し遂げ、巨人の3回を上回った。

 快挙の背景には、野村監督がメディアを使って巨人への対抗心を露わにしていたことも大きかったという。野村ヤクルトで“巨人キラー”として名を馳せた投手・川崎憲次郎氏(49)が振り返る。

「マスコミは巨人中心に報道していたので、野村さんは意識的に巨人についてボヤき、記者を惹きつけていたのだと思います。監督の発信力によって、ヤクルトがテレビやスポーツ紙で頻繁に取り上げられるようになった。選手は注目されると、より力を発揮できるようになる。野村さんは選手に『取材は絶対断るな』と話し、オフのバラエティ番組出演も積極的に勧めてくれました。そのことで、野球に興味のない人がファンになってくれるかもしれない。メディア露出を増やして知名度を高めれば、必ずチームにプラスになると熟知していた。野村さんは戦術面だけではなく、エンターテイナーとしても頭抜けていた監督でした」(以下「」内、川崎氏)

 川崎憲次郎を“巨人キラー”に育て上げたのも、野村監督だった。1988年に大分・津久見高校からドラフト1位で入団した川崎は、ルーキーの1989年に巨人戦で完封勝利を含む2勝を挙げ、既に“巨人キラー”と呼ばれていた。しかし、本人は半信半疑だったという。

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