救世主か?“怪物”か?──。ベストセラーとなっている『女帝 小池百合子』はそう問いかけているが、厳しい目を持つ女性たちに小池百合子都知事の「真実の姿」はどう映っているのだろうか。国際政治学者の三浦瑠麗氏(39)氏が分析する。
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私が小池さんを認識するようになったのは、彼女がNSC(国家安全保障会議)設立の担当補佐官から防衛大臣となって、(コンドリーザ・)ライス国務長官に“マダム・寿司と呼んで”なんて言っていた頃です。
当時、私自身が(東京大学大学院の)修士課程で国防会議を作るべきという研究論文を書いたこともあり、安全保障改革を推進されていたので好感を持っていました。
でも小池さんは、テレビ討論などで森本敏さんのような専門家のサポートを受けないと明確な説明ができなかった。それを見て、愕然とした記憶もあります。
とはいえ、政治家は専門分野を何から何まで分かっている必要はなく、政策を決断し、実行するのが役割です。以降、私は小池さんについては広報官的な政治家という見方をしてきました。広報能力には長けた人で、決断自体は機を見るに敏、世の中の流れを察知して決断する能力はあります。
『女帝 小池百合子』が話題ですが、私は著者の石井妙子さんがもともと好きで、才能があり粘り強く取材をされている素晴らしい作家さんだと思います。ただ、内容は小池批判が中身よりも外見や手法にばかり向いているなと感じました。