新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止していた民放の連続ドラマ撮影が、再開されつつある。感染抑制のための「新撮影ルール」には、役者もスタッフもてんやわんやとなっている。フジテレビでは、「医療ドラマ」が大きな影響を受けた。
石原さとみが病院薬剤師役に挑戦した『アンサング・シンデレラ』では、撮影場所に苦労したとフジテレビ関係者が明かす。
「当初ロケ先に予定していた病院が、感染予防の観点で使用できなくなってしまったんです。
いまはお台場の「湾岸スタジオ」にセットを突貫で組んで、可能な限りそこで撮影をしていますが、スタジオにも厳しいルールが設けられていて、出演者もスタッフも戸惑ってばかりです」(フジテレビ関係者)
◆給湯室では「歯磨き禁止」
湾岸スタジオの撮影マニュアルには、こんなルールが定められていた。
〈収録開始前日に医師より感染予防の指導を仰ぐ〉
〈スタジオ入館時に検温を受ける〉
〈昼休憩、夕休憩後は再度検温と消毒を受ける〉
〈給湯室での手洗いうがい、歯磨き禁止〉
〈スタジオ前室での紙コップでのお茶、コーヒーなどの準備は休止〉
〈ドライ(※編集部注:カメラ無しで行なわれるリハーサル)、テストはフェイスシールドを着用〉
別のフジテレビ関係者が語る。
「通常、医療ドラマでも会話シーンはマスクを外すものですが、今回は登場人物がマスクを着用したまま会話するシーンが増える予定だと聞いています。マスクを着けていると口元が見えないので、役者は目や表情だけで演技することになる。これが難しくて、キャストのみなさんは苦労しそう。石原さんといえば、なによりあのポッテリとした唇が魅力。彼女の唇が隠れてしまうことを残念がるスタッフは多い」
同じ湾岸スタジオでは織田裕二主演の『SUITS シーズン2』の収録も始まっている。
演技や演出に強いこだわりを持つ織田だけに、カットを重ねないスピード重視の撮影には「やや物足りなそうにしている」(ドラマスタッフ)そうだ。
※週刊ポスト2020年7月10・17日号