「お前が早くいなくなればみんな幸せなのにな。まじで早く消えてくれよ」──毎日100件近くのこれら誹謗中傷コメントにさらされ続けたプロレスラーの木村花さんは、「死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思ってました。」という言葉を残し、22年の生涯を閉じた。
この事件を機に、「誹謗中傷はやめよう!」という風潮が高まったが、いままた、不倫騒動を起こしたお笑い芸人・渡部建(47才)へ誹謗中傷が集まっている。「だって、渡部は叩かれるべき悪いことをしたでしょ」という大義名分を掲げて…。
彼らは忘れているのか、あるいは知らないのか──相手が誰であろうと誹謗中傷することは犯罪であり、人を死に追い込む行為だ、ということを。ここで紹介するのは、主婦ツイッターユーザー・深爪さんの事例。
深爪さんがツイッターを始めたのは2012年11月。東日本大震災のときに、ツイッターがどんなメディアよりも早く情報を伝えたと知り、興味を持ったという。日常生活や時事ネタなどに対して自分の考えをつぶやく彼女にも、誹謗中傷コメントが容赦なく送られてくる。彼女のフォロワー数は約18万人。
「『朝起きたら一面の銀世界だった。最高!』というツイートに対し、『雪で家族を亡くした人の気持ちを考えろ。なにが最高だよ』とコメントされたのは衝撃でした。ただ雪がきれいだと伝えたかっただけなのに。万人が好意的に捉えるツイートなんて存在しないと痛感しました」(深爪さん)
ツイッターには、特定のアカウントからのツイートまたは特定のキーワードを含むツイートを表示させない機能「ミュート」がある。利点は、この機能を使っていることが相手にばれないことだという。相手に自分のツイートを一切見られなくする「ブロック」であれば、ブロックしたことが相手にすぐにばれて、余計な怒りを誘発させることとなる。
「私の誹謗中傷対策は、ミュート一択です。相手は反応を求めていることが多いので、完全に無視した方がいい。返事をしたら延々相手をすることになりますから。ちなみに、明らかな脅迫行為や目に余る誹謗中傷はすべて証拠を保存しています」
よほど粘着質な人でもない限り、相手にしなければ、やがて反応はなくなるという。これに加え、「あまりにひどい誹謗中傷に対してはそれなりの対処をします」とツイッター上で宣言。すると、その種のリプライ(コメント)は来なくなったという。
「SNSでの誹謗中傷をやめさせるには、ネットが実生活と地続きであることを知らしめていく必要があると思います。相手は匿名性を強みにし、安全圏だと思っている場所から石を投げてストレスを解消するような卑怯な連中なので、『そこは安全じゃないよ。丸見えだよ』とわからせるのです」
誹謗中傷は違法であり、許されざる行為であると、毅然とした態度を取ることで抑止になるようだ。
※女性セブン2020年7月16日号