どんなタイミングで発生するかわからない大地震。もしも、入浴中に大地震が起きたら、どうするべきなのだろうか。【A】すぐに浴室から離れる、【B】ドアを開けて浴室で待機、どちらが正解なのか──。
家の中で地震に遭いたくない場所の第1位は「風呂場」だというアンケート結果がある(2019年「災害時に安心・安全だと思う場所に関する意識調査」エヌ・シー・エヌより)。
確かに入浴中は全裸で無防備なため、いざというとき、衣服を着た状態よりも焦ってしまいがちだ。しかし、風呂場は意外に安全性が高いと、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
「一般的に、単位面積当たりの梁や壁が多いほど耐震性は高くなります。風呂場はそれに当てはまり、倒壊の可能性は低い。ですから、強い揺れを感じても、全裸で飛び出すなど、慌てて避難する必要はありません。
ドア枠などがゆがんで閉じ込められることがあるので、揺れを感じたら、ドアを開けて退路を確保し、そのうえで、揺れが収まるまで浴室で待機しましょう」(和田さん・以下同)
つまり、ここでは【B】が正解。揺れが収まってから、服を着て、安全な場所へ避難しよう。
「火災などの場合を除き、タオル1枚などの軽装で外に飛び出すのは負傷の危険性が高まるので絶対にやめましょう。脱衣所にサッと羽織れるガウンなどを用意しておくと、いざというときすぐに避難行動がとれるのでおすすめです」
安全が確保された後、考えるべきは、残り湯の処理だ。断水した際、トイレを流す水などに使えそうだが…。
「配管に損傷があると、流した水が逆流する恐れがあるので、配管の安全が確認されるまでは、トイレに水を流すのは控えた方がいい。特にマンションの場合、配管が壊れているのにトイレに水を流すと、汚水が下の階に流出して、第三者に被害を与える可能性も。そうなると、多額の賠償金を払うことになります。風呂の湯も同様で、配管の安全が確認できるまで残り湯は流さず、そのままにしておきましょう」
というのも、残り湯は大腸菌などの雑菌の宝庫で、トイレの汚水同様、汚いからだ。
「これまでにも被災地で、風呂の残り湯が顔にちょっとついただけで感染症を発症したケースがあります。ですから、残り湯を不用意に流したり、災害用の備蓄水にしないでください。トイレは、水がなくても使える災害用トイレを用意した方がいいでしょう」
飲料、調理に使う水を含め災害時に必要な生活用水の目安は、3リットル×家族人数(1日分)。残り湯は頼りにせず、清潔な水の確保に努めよう。
◆イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年7月16日号