“異端の政治家”小池百合子氏(67)が東京都知事に再選された。4年前の知事選でブームを起こし、勢いを駆って前回総選挙では小池新党「希望の党」を立ち上げて国政に挑む大博打を打ったものの、大負けしてすってんてん。「小池は終わった」と思われていた。
それが今回はメディアあげての批判の嵐の中、新型コロナ対応で再び風をつかんで圧勝してみせたのだ。
政界では“勝負師”の彼女がこのまま4年間、おとなしく知事任期を全うすると考える者は少数派だ。次はいつ、総理をめざして国政に転じるかと与党も野党も戦々恐々としている。
群れず、頼らず、敵をつくるのを厭わない。だから嫌われ者だが、バッシングさえ逆手にとって何度挫折しても蘇る。この「孤独な女帝」のしたたかさ、逞しさのルーツはどこにあるのだろうか。
小池氏は世襲政治家ではない。だが、そのルーツは“政治好き”だった父の勇二郎氏を抜きには語れない。
勇二郎氏は戦時中、日本の皇室は中東のシュメール文明の末裔だとするスメラ学塾に参加し、「民族独立運動」など超国家思想に傾斜していた。戦後は貿易商を営んでアラブ諸国に人脈を広げた。
〈大正十一年に神戸で生まれた父は、戦争中海軍に身を置いた。終戦後は、ペニシリンで一儲けした後、重油を関西電力に卸す商売やガソリンスタンド経営など石油がらみの仕事をベースに、三十代で関西経済同友会の幹事を務めるなど派手に立ち回ったようだ〉
小池氏は文藝春秋2008年6月号の「オヤジ」という表題のエッセイでそう書いている。大風呂敷を広げるのが好きな破天荒な人物だったようだ。交友があった右派の政治団体関係者の話だ。