ビジネス

コロナ禍でミニ戸建が売れている理由 タワマン離れは加速か

コロナ禍でもミニ戸建てが売れている(写真はイメージ)

コロナ禍でもミニ戸建てが売れている(写真はイメージ)

 コロナ不況の到来によって新築マンション市場は停滞しているが、一方で都市部や郊外の“ミニ戸建て住宅”の契約は伸びているという。果たして本当なのだろうか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。

 * * *
 コロナ後にテレワークが定着するのか、あるいは原則出勤を復活させるのか──企業によって判断が分かれているようだ。報道によれば、富士通や日立製作所などはテレワーク継続の方針。伊藤忠やダイキン工業などは出勤を復活させたという。

 各種アンケート調査によると、テレワークを経験した人のうち約7割は継続を希望しているという。欧米先進国に比べて、日本はテレワークの定着率が低いとされるものの、一定の割合でテレワークが普及することは確かだろう。

 そこでにわかに注目されているのが、テレワークを快適に行なう「場所」である。

 多くの人は、自宅でテレワークを行っている。コロナ以前よりも長時間自宅に滞在することになったため、彼らは現在の住まいについて一層深く考えるようになったはずだ。もちろん自宅の仕事環境に満足している人もいるだろうが、逆に不満を募らせた人は少なくなかったのではないか。

 多くの人がテレワークに慣れかけた4月半ば頃、私のところに1本の電話があった。かけてきたのは新興大手デベロッパーに勤める土地の仕入れ担当者。その会社はミニ戸建て分譲と小規模なマンション開発を得意とする会社だ。

「当社の戸建て住宅が絶好調に売れているんです!」

 超体育会気質のその会社は、緊急事態宣言下でも電話等で営業活動を続けていた。「こんなときに戸建て? 御社の場合は3階建てのミニ戸建てでしょ?」と尋ねると、「はい。それが売れまくっているのです」と彼は答えた。

 なぜミニ戸建ての販売が堅調なのか。さらに聞いてみると、テレワークで今の自宅の手狭さを実感した人々が、ミニであっても自分の居場所や仕事部屋を確保できる戸建てを買っているのだという。

 私は素直に訝った。コロナによってテレワークが始まったのは、せいぜい3月から。ほとんどの企業は4月の緊急事態宣言でテレワークを本格化させた。まだ試行錯誤の段階だったテレワークの影響が、そんなに早く出始めるはずがないと考えたのだ。そうでなくても、不動産屋は物事を大げさに言いたがる習性がある。

 しかし、その動きはどうやら本物だった。この原稿を書くにあたり、その担当者に改めて電話取材してみると、こんな驚くべき話が返ってきた。

「戸建ての販売実績はこの5月が過去最高で、6月はそれを上回ったはずです。出せば売れるので必死で土地を探している状態です」

 その会社のミニ戸建てを購入する人は、広さと部屋数を求めているそうだ。やはりテレワークの動きと連動しているのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン