アフターコロナ、ウイズコロナなど言い方は微妙に異なるが、緊急事態宣言を伴った新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が過ぎ、コロナウイルスが身近にある前提を持ちながら学校や仕事などがコロナ前に戻されている人も多いだろう。リモートワークが終了し、職場へ出勤する生活へ戻ったことがかえってストレスになって辛いと訴える人たちの苦しみを、ライターの森鷹久氏がレポートする。
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新型コロナウイルスの新規感染者数が首都圏では今なお高い水準ではあるが、多くの人々たちが、会社に出社したり学校へ登校したりという「日常」に戻りつつある。手洗いや3密を防ぐ行動など、以前とは違った部分もあるものの、かつて普通だった「日常」を取り戻して過ごす人が多い中、そうではない人たちの悲鳴も聞こえ始めている。
「一気に肌荒れが酷くなりました。在宅勤務中は、化粧はおろかリップも塗りませんでした。あとは会社に行かなくて良いというストレスからの解放もあり、肌のコンディションはかつてないほどよかったんです」
東京都内の人材派遣会社勤務・森戸ななえさん(仮名・30代)は、4月の中旬から6月の上旬までの約2ヶ月間、在宅勤務を命じられた。当初は戸惑ったものの、出社の2時間半前に起床、食事をとり、髪をまとめて化粧をし、満員電車で通勤する煩わしさがないことに感激した。
「会社に行くために、準備や帰宅後の色々で1日のうち5時間が必要だったんです。これだけでも大変なストレス。在宅勤務の継続を訴えましたが、上司が許さなかった。以前通りの生活のはずなのに、今の方が辛い。肌は荒れ、顔には吹き出物も……。マスクで擦れて泣きそうなくらいに痛い……」(森戸さん)
以前と同じ生活のはずなのに、なぜか以前よりも辛い……。そう感じるのは森戸さんだけではない。
「リモート勤務で太るかなあ、タバコも増えるかなあと思ったら実際は真逆。通勤の時間が減って朝ジョギングする時間もできたし、外食やコンビニ飯オンリーだったのが自炊になりました。あんまりイライラしなくなって、タバコは半分以上減ったんです」
埼玉県内の通信会社勤務・大江信彦さん(仮名・40代)は、中間管理職。数十人の部下も在宅勤務に入るため、統制が取れないのではないかという不安もあったが、実際にやってみると、以前よりもグンと効率が上がったという。
「勤怠管理、仕事の進捗状況を全てチャットで行うのは初の試みでした。デジタルに弱いと思い込んでいた私でしたが、やってみるとこれが本当に便利で、部下からも好評でした。今までは、部下の顔が見えてなければいけないとか、コミュニケーションが大事だとか言って、こうしたシステムに頼るのは避けてきました。でも、コミュニケーションが必要なのは、仕事のため。その仕事がスムーズに進んでいるのなら、改めて対面のコミュニケーションを取る必要もないし、それでも仕事のために必要なことが新たに発生したら、また考えれば良いだけ」(大江さん)