新型コロナウイルスをめぐり、政府の専門家会議や厚労省クラスター対策班が打ち出した予防策や指標に対して、適切な政治判断がとられなかったとの指摘がある。元厚労相で、前東京都知事の舛添要一氏が語る。
「本来、専門家会議というのは感染症のプロ集団ですから、経済のことは考えずに感染症対策に全力を注ぐべき。会議に経済の専門家を入れていましたが、経済とのバランスは政治家が判断すべきです。しかし、安倍晋三・首相も専門家会議の提言をそのまま受け入れるだけで、政治家として必要な判断をしなかった。
そうではなく、複数の専門家会議を設置し、それぞれのチームに予測を競わせることが必要です。クラスター対策班の西浦博・北大教授が『接触制限8割』と打ち出せば、別のチームが『3割減でいい』『5割がいい』と対案を出し、全てを情報公開して政治家が判断し、その責任をとるべきでした」
政治家が果たすべき役割まで“押し付けられた”形の専門家会議は、批判的な意見も寄せられたまま、突如廃止となった。政府は新たに「新型コロナウイルス感染症対策分科会」を設置し、6日に初会合を開いたが、肝心の政治家の判断力が変わらなければ、第2波の襲来に対して心許ない。
※週刊ポスト2020年7月24日号