芸能界では多くのファミリーが活躍しているが、最近、一躍注目を集めているのが、藤岡弘、(74才)とのその子どもたち4人だ。その活躍ぶりについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
* * *
最近は親兄弟揃って芸能人の“芸能ファミリー”が目立つ。草刈正雄と紅蘭・麻有、三浦友和と祐太朗・貴大、水谷豊・伊藤蘭と趣里、千葉真一と真瀬樹里、新田真剣佑・眞栄田郷敦、木村拓哉・工藤静香とCocomi・Koki,が一気に出てきたときは驚いたものだが、いまやおなじみファミリーに。故・松田優作と美由紀と龍平・翔太に長女・ゆう姫も加わったことで松田ファミリーにも注目が集まっている。
そんな中、長女・愛、長男・真威人、次女・天音、三女・舞衣、10代の4人の子どもたち全員芸能活動開始ということで話題になったのが、藤岡弘、ファミリーである。『徹子の部屋』『めざましテレビ』などの番組に子どもたちと出演、YouTubeには『藤岡弘、ファミリーチャンネル』を開設。すっかり「パパフジオカ」の顔になってきた。
日本の芸能界の中でも、藤岡弘、ほど、さまざまなブレイクの形を見せた俳優は珍しい。1971年の『仮面ライダー』では特撮ヒーロー、1974年の大河ドラマ『勝海舟』坂本龍馬では時代劇ヒーロー、1984年『SFソードキル』では国際アクションスター、2002年川口浩探検隊の跡を継いだ『藤岡弘探検隊』シリーズでは冒険家となった。他にも1997年、柔道着姿で登場して注目された「せがた三四郎」CM、とんねるずとのバラエティ共演、今年はソフトバンクCMでブルース・ウィリスのドラえもんの声を担当している。
しかし、藤岡弘、がすごいのは、ブレイクの形も見せている顔も違っているようで、実はずっと変わっていない。熱い、強い、眉毛が濃い。ずーっと、サムライ藤岡弘、であるということだ。
先日出演した『ごごナマ』では、自らを見つめるために自宅に作ったという部屋に子どもたちを呼んで語り合う姿が紹介された。日本刀や鹿の角、黒光りするオリジナルのMY甲冑などがずらりと並んだ部屋で、おもむろに何を取り出すのかと思ったら、それは本物の棒手裏剣! にこにこと思春期の次女・三女に「これはこうして…」と棒手裏剣を両手にバシッバシッと戦うポーズを示すパパフジオカ。やっぱり変わってない…。
一方で次女がパパから「挨拶はしっかりしなさいと言われました」などとしっかり者ぶりを見せると、涙ぐむ場面も。子どもたちに芸能関係に進みたいと言われたときは戸惑ったが、自分の事務所に所属させ、目の届く限り「守りたい」という。さすがサムライ。
思えば、2016年の大河ドラマ『真田丸』では、多くの武将が敵方の顔色をうかがう小心者なのに、藤岡が演じた本田忠勝だけは、首に巨大な数珠玉を巻き付けて大刀をぶるんぶるんと振り回す勇猛ぶりで疲れ知らず。命がけの伊賀の山越えの後も「某は一日で回復し申した」とワハハと笑って、ヘロヘロの主君徳川家康(内野聖陽)から「化け物だな…」と呆れられる。“そこにいるだけで面白いサムライ”という稀有な存在感を示した。
藤岡弘、は、あまりにサムライであることで「こんなことやったら面白いのでは」とアイデアを掻き立てられる存在なのだ。息子にギターを教え、みんなで歌うことも考えているらしい。いったい何を歌うのか…。芸能ファミリーの中でも独自の道を行く。それでこそ、藤岡ファミリーである。