国内

夏場はリスク高 災害時の感染症対策、最低限守りたい6項目

東日本大震災の被災地では、インフルエンザや、食中毒などの消化器系の感染症が蔓延。密を避ける避難が課題となっている(撮影/小倉雄一郎)

 九州各地をはじめ、岐阜県や長野県などが記録的大雨に襲われる中、自然災害時における感染症予防のあり方が改めて考え直されている。東日本大震災で45万人以上が避難所生活を強いられたときもそうだったが、災害時はもちろん、その復旧過程においても衛生環境は悪化し、さまざまな原因による感染症が多発しやすくなる。

 新型コロナウイルスのパンデミックにいち早く警鐘を鳴らし、特効薬研究にも従事する理学博士の鈴木和男さんは、「災害後は地域の至るところで病原微生物が蔓延するので予防対策を万全にしてほしい」と注意を促す。

「災害後に発生する感染症は、飛沫感染による新型コロナウイルス、インフルエンザなどの呼吸器感染症。外傷による破傷風。蚊の媒介によるデング熱。汚染水の吸入によるレジオネラ肺炎。経口感染による下痢症・食中毒、チフス、コレラなどの消化器感染症に注意が必要です。

 特に消化器系の感染リスクが高まる夏場は要注意。食事は加熱したものを摂り、しっかりと手洗いをして乾いたタオルで拭く。災害後は病原微生物が家の中にも蔓延するので、自宅にいても必ずマスクを着用して生活してください」

 以下、6項目は、最低限守りたい感染症対策だ。

【1】食事は加熱し、時間をおかずに食べる(時間とともに感染リスクは上がる)。
【2】安心して飲める水だけを飲用とし、ペットボトルから直接飲まず、清潔なコップに入れて飲む。
【3】食事の前、トイレの後は石けんやアルコール消毒液でしっかりと手を洗い、必ず“乾いたタオル”で拭く。
【3】嘔吐・下痢などの汚物やおむつは所定の場所(自治体が用意する感染用蓋つき容器)に捨てて、よく手指を洗う。
【5】災害後は家の中でもマスクを着用し、ヒトから1m以上離れる。
【6】熱っぽい、喉が痛い、咳、頭痛、だるさ、関節痛や筋肉痛、嗅覚・味覚障害、けが、嘔吐、下痢などがあるとき、特に周り(家族など)でも同じような症状が増えているときは、かかりつけの医師、または保健師、避難所代表に電話やメールで相談する。

【教えてくれたのは…】
◆理学博士・鈴木和男さん/1977年東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了。1981年に好中球機能と川崎病の病因の研究を始め、国立予防衛生研究所・国立感染症研究所で研究を続け退官後、千葉大学大学院医学研究院教授に。2012年帝京大学教授、2013年から帝京大アジア国際感染症制御研究所所長。感染制御薬開発論文と特許3件、200編以上の国際誌論文。著書に『生体防御医学事典』ほか。

※女性セブン2020年7月30日・8月6日号

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