新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、放送延期になっていた各局の連続ドラマがスタート。多くの作品の視聴率好調が伝えられているが、そこにはある理由があるようだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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連日、さまざまなネットメディアがドラマの世帯視聴率を報じていますが、このところ好調を伝える記事が続出しています。
コロナ禍による放送延期からようやくスタートを切った春ドラマの世帯視聴率を見ていくと、『ハケンの品格』(日本テレビ系)が14.2%、11.9%、11.9%、12.7%、13.1%。『BG ~身辺警護人~』(テレビ朝日系)が17.0%、14.8%、14.4%、14.4%、14.4%。『MIU404』(TBS系)が13.1%、11.5%、10.6%。『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)が11.2%、9.0%、8.4%。『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)が14.2%、12.8%。『アンサングシンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)が10.2%と軒並み好スタートを切り、ネットの声も上々です。今後、どう推移していくかは作品の質などにもよるため分からないものの、少なくとも好スタートを切っていることは間違いありません。
そこで注目したいのが、各ドラマのスタート日。撮影スケジュールやコロナ対策などの違いもあって、かなりのバラつきが見られるのです。
6月17日に『ハケンの品格』、18日に『BG ~身辺警護人~』、26日に『MIU404』、27日に『未満警察 ミッドナイトランナー』、7月7日に『私の家政夫ナギサさん』、16日に『アンサングシンデレラ 病院薬剤師の処方箋』、17日に『ディア・ペイシェント~絆のカルテ~』(NHK)がスタート。また、19日に『半沢直樹』(TBS系)、28日に『竜の道 二つの顔の復讐者』(フジテレビ系)の第1話が放送され、ようやくすべての春ドラマが出そろいます。
さらに、本来7月から放送予定だった夏ドラマも、1~2か月遅れで次々にスタート。7月31日に『真夏の少年~19452020』(テレビ朝日系)、8月1日に『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)と『13(サーティーン)』(フジテレビ系)、2日に『親バカ青春白書』(日本テレビ系)、5日に『刑事7人』(テレビ朝日系)、6日に『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)、12日に『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)、13日に『おじさんはカワイイものがお好き。』(日本テレビ系)の第1話放送が発表されています。
9月に入っても、『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』(TBS系)、『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)、『彼女が成仏できない理由』(NHK)、『DIVER-特殊潜入班-』(フジテレビ系)の放送開始が明かされていますし、今後はさらに増えていくでしょう。
ここまで挙げてきたように6月中旬から9月にかけての約3か月半、新作ドラマが五月雨式にスタートしているのです。連続ドラマは通常、春の4月、夏の7月、秋の10月、冬の1月に一斉スタートするものであり、このような長期に渡る五月雨式のスタートは前代未聞。そもそも季節ごとに一斉スタートするほうが分かりやすそうなものですが、なぜ「いつはじまるか分かりにくい」はずの五月雨式スタートで好結果が出ているのでしょうか。
◆五月雨式だから番宣がうまくいく