相模湾に面し、江戸時代は東海道五十三次の宿場町としても栄えた小田原。古くから旅人がスタミナ食として鰻を食した背景もあり、市内には数々の鰻料理の名店が存在する。
小田原駅から箱根登山電車に乗り換え、風祭駅で下車。開店前から行列ができる大人気店「うなぎ亭 友栄」は国道1号線沿いにあり、駅から徒歩約8分で到着した。店では、一般サイズの約1.5倍(約300グラム)の希少な最上級の青鰻のみを使用。
全国各地から厳選した鰻を地下100メートルから汲み上げる箱根山系の流水で3日以上洗い続けてから焼く。1尾ごとにタレも焼き加減も調整して仕上げる。
白焼きして蒸した後、タレを4度づけして焼き上げた鰻が1尾のる「上うな重」は、ふたを開けた瞬間、その身の厚さと大きさに驚く。口に入れると、ふわふわとした食感と香ばしさに思わず笑みがこぼれた。
入店時間がきたら電話で呼び出してくれるので、近くの「鈴廣 かまぼこの里」で観光や買い物をしながら鰻料理を待つ時間も楽しい。食後は約3キロ離れた小田原城址公園、箱根湯本へ散策に訪れたい。
●うなぎ亭 友栄 神奈川県小田原市風祭122
【営業時間】10時~17時(L.O.)【定休日】木、金※事前に鰻の取り置きはできるが、席や時間の予約はできない。土日は開店と同時に売り切れる場合もあり、前日までの事前連絡が望ましい
上うな重(きも吸・お新香付き) 5940円、うなぎの割きたてのきも 880円
◆撮影/岩本 朗・中庭愉生、取材・文/上田千春
※週刊ポスト2020年7月24日号