ヤマダ電機傘下で経営再建に取り組んでいる大塚家具。だが、業績低迷に歯止めはかかっていない。経営主導権を巡る父娘の激しい“骨肉バトル”を繰り広げてから5年。大塚久美子社長は再び崖っぷちに立たされている。果たして、大塚家具はどうなってしまうのか。ジャーナリストの有森隆氏がレポートする。
* * *
ヤマダ電機による大塚家具の本格的な再生計画が始まった。
7月30日、東京・江東区有明の東京ファッションタウンビルで第49回定時株主総会を開く大塚家具だが、2019年12月、大塚家具を子会社にしたヤマダ電機は社長の三嶋恒夫氏(60)を会長に送り込む。
大塚家具社長の大塚久美子氏(52)は続投するものの、ヤマダからは取締役兼専務執行役員事業統括本部長の村澤圧司氏(58)、事業統括本部インテリア家電事業部長の名取曉弘氏(47)、経営企画室参事の清野大輔氏(45)が取締役として送り込まれる。
大塚家具側は久美子氏の妹の夫である取締役専務執行役員流通本部長兼海外営業部管掌の佐野春夫氏(55)など3人が再任となる。ヤマダと大塚がそれぞれ4人、独立社外取締役の弁護士1人で取締役会(ボード)は構成される。社外取締役の陳海波氏(46)は退任する。
「陳氏は大塚家具の資本支援をとりまとめた人物。日中をつなぐネット通販、ハイラインズの社長です。中国大手の家具店、居然之家(イージーホーム)を呼び込む再建計画を立てた久美子は、『日本から一歩、歩みだす。中国の富裕層の取り込みを目指す』と大見得を切りました」(関係者)。
しかし、再建計画は久美子氏の思惑通りにはいかなかった。
「陳氏は久美子氏の経営力を評価しておらず、『父・大塚勝久氏(77)との和解』を支援の条件としました。久美子氏は、自ら設立した業界団体の名誉会長に就任するよう勝久氏に説得しましたが、勝久氏は断った。これを口実に中国のファンドは出資を見送り、中国での展開も、通販サイトの利用も白紙に戻りました」(金融筋)