ツイッターのリツイートとは、すでに行われたツイートを自分のタイムラインにそのまま再投稿する機能だ。フォロワーに知らせたいとき、自分のメモ代わりなどに用いている人も多いだろう。しかし、内容によっては罪に問われるかもしれない。元大阪府知事の橋下徹さんがジャーナリストの岩上安身さんのリツイートに損害賠償を求めた訴訟では、6月の高裁判決も一審判決を支持しリツイートをしたアカウントは「経緯、意図、目的を問わず不法行為責任を負う」と名誉毀損を認め岩上氏に支払いを命じた。SNSの問題に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、リツイートで起きる名誉毀損の実態とリスクについて解説する。
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2017年10月、岩上氏は、府知事時代の橋下氏が幹部職員を自殺に追い込んだとする第三者のツイートをコメントをつけずにリツイートし、同年12月までに削除した。岩上氏のアカウントには当時18万人のフォロワーがおり、以前から橋本氏の言動に批判的なツイートをしていた。
橋下氏は、このリツイートにより「自分がパワハラをする人物だという印象を広く拡散された」と主張し、岩上氏に対し110万円の慰謝料を求めて大阪地裁に提訴したのだ。2019年9月、大阪地裁は岩上氏に33万円の支払いを命じたが、岩上氏が控訴していた。
2020年6月の高裁判決は、岩上氏のツイッターのフォロワーが18万人超であることをふまえ、今回のリツイートは社会的評価を低下させる内容がある元ツイートに賛同する表現行為で名誉毀損罪に当たるとの地裁の判断を支持し、リツイートした側は「経緯、意図、目的を問わず不法行為責任を負う」とした。岩上氏のリツイートは一審判決と同様、「橋下氏の社会的評価を低下させた」と認められたというわけだ。
「ただのリツイートでどうして罪になるの」
「まずい、リツイートしまくってる。俺も捕まる。リツイート消した」
そのような投稿をツイッターでいくつも見かけた。特にツイッターを日頃から使っている人には、「ただのリツイートが罪に問われるなんて」と驚いた方が多かったのではないか。自分の過去のリツイートを思い返し、青くなった方もいたかもしれない。
一般的にリツイートは、興味深いと思ったもの、共感したりいいと感じたものなどにすることが多いだろう。後で読み返したいものを、記録の意味でリツイートすることもある。必ずしも多くの人に読んでもらいたいという意味ではない使い方が多いものだが、判決ではリツイートは表現行為とされた。