「3密や夜の街に立ち入ることを避け、外食もしていなかったのに感染しました。電車やタクシーには乗りましたが、どこで感染したのか本当にわからないんです…。発症から1か月ほど経ちますが、現在も味覚や嗅覚は戻らず、微熱や疲労感が続いています」
そう語るのは、6月中旬に新型コロナウイルスに感染した東京在住の20代女性。7月上旬に都内の病院を退院したのちも後遺症に悩まされている。
現在、彼女のような「感染経路不明者」が急増中だ。東京では7月9日に判明した感染者224人中103人が経路不明で、約3か月ぶりに100人の大台を超えた。大阪も11日、感染経路不明者の割合が78.6%となった。
小池百合子都知事がやり玉にあげる「夜の街」関連の感染者はこのところ全体の3割程度しかいなく、経路不明者の多さが際立つ。昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんが言う。
「すでに感染者は夜の街からあふれ出て、市中感染が広がっています。特に症状のない20~30代の若い世代が友人と食事をしたり買い物に出かけたりすることで、『昼の街』が新たな感染源になっています」
国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんは「ソーシャルディスタンスを取っても安心はできない」と指摘する。
「最近はウイルスが飛沫より小さい粒子となり空中を漂う『エアロゾル感染』の可能性が指摘され、さらに感染力の強いウイルスが海外から流入すれば、これまでの想定より広い範囲でウイルスが飛散するとされます。特に密閉された場所では隣人との間隔を2m空けても、感染が拡大する恐れがあります」
※女性セブン2020年7月30日・8月6日号