コロナ問題が一向に収まらず、秋の大統領選挙を前に得点がほしいトランプ大統領は、一発逆転の賭けで4度目の米朝首脳会談に臨むのではないかという観測がある。宗教・政治・国際情勢など幅広い分野で多数の著書・著作を持つMario Alexis Portella氏は、このままでは北朝鮮の人権問題が放置されると警告する。
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11月の米大統領選挙を前に、韓国の文在寅大統領はトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長に再会談を呼び掛けているが、その一方で米朝関係は依然として「薄氷の上」にあることも認めた。アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、実質的な進展がない限り、次の首脳会談の可能性は低いと述べている。
昨年6月、トランプ大統領は北朝鮮の独裁的指導者に招かれて板門店に入り、北朝鮮で首脳会談した最初の米大統領となった。しかし、いまだに非核化は実現されていないため、それ以前の2回の首脳会談と同様に、この会談も批判された。そして、もしこの秋に2人が会うとしたら、また同じことになるだろう。金政権は米国が望むようにすべての核兵器を廃棄することには同意しないだろうから、軍備管理協定の方が現実的だ。
仮に軍備に関する協定が実現したとしても、もうひとつ、トランプ政権が言及していない重大な要素が人権問題だ。北朝鮮は世界から孤立し、金一族によって3代にわたって統治されてきた。国民は金正恩氏と金ファミリーに完全な忠誠を示す必要がある。北朝鮮は依然として世界で最も代表的な独裁国家の一つである。現政権は7年目を迎えたが、表現、集会、結社、宗教の自由を含むすべての市民権・政治的自由は政府により制限されている。また、組織的な政治的反対勢力、独立メディア、市民社会、労働組合も禁止されている。北朝鮮政府は、住民への恐怖と支配を維持するために、政治的反体制派の恣意的な逮捕、拷問、処刑を日常的に行っているとされる。この独裁政権は、女性、子供、障碍者など、危険にさらされている多くの人々の権利を保護することもできていない。
1972年、ニクソン大統領は電撃的に中国を訪問し、毛沢東主席と会談した。この歴史的会談の後、アメリカは中国と台湾という「2つの中国」を支持する立場を放棄して中国共産党を支持し、外交、貿易、ソ連との関係などを全面的に見直した。西側諸国の多くは、中国共産党が国民の人権問題を改善すると期待したが、振り返ってみると、それは経済帝国を生み出し、世界の隅々に組織的に根を張る手段を中国共産党に提供した。トランプ政権が北朝鮮の人権侵害に対処しなければ、同じことが起こるだろう。