中国の宝飾品メーカー大手で、米ナスダックの上場企業でもある「武漢金凰珠宝(キングゴールド・ジュエリー)」が偽の金の延べ棒を担保にして金融機関から融資を受けていた疑惑が発覚し、中国政府の金融捜査当局の取り調べを受けていることが明らかになった。
同社の創業者である賈志宏社長は中国人民解放軍の出身者で、軍在籍中は陸軍総後勤部で金鉱山の管理を担当する幹部だった。そんなことから、軍の金製造工場から金メッキを入手するなどした疑いがあり、今回の事件には軍も関係しているとの見方も出ている。中国メディア「財新」が報じた。
ことの発端は2015年以降、賈氏が金融機関に対して「83トンの金の延べ棒を所有しており、これを担保にして融資をしてほしい」ともちかけたこと。賈氏は信託会社など15社から総額200億元(約3000億円)の融資を受けた。
しかし、債権者である東莞信託や民生信托が担保の金の延べ棒の品質検査を要求。賈氏はかたくなに拒んだが、東莞信託の担当者が今年2月、同社に乗り込み、金の延べ棒を検査したところ、銅に金メッキを塗っただけのものだったことが明らかになった。
これを受けて、他の金融機関も調査を要求。民生信托などが5月、裁判所を通じて倉庫を調べたところ、83トンの金の延べ棒はすべて金メッキが施された銅だったことが分かったという。
民生信托など金凰珠宝に融資していた金融機関は中国政府の金融部門を統括する機関の捜査部門に被害届を出したことで、7月初頭に政府機関の捜査が開始されている。