コロナによる長い自粛生活から大ヒットとなったゲーム「あつまれ どうぶつの森」と家庭用ゲーム機の「ニンテンドースイッチ」。一方、巻き返しを図りたいライバルのソニー「プレイステーション4」は後継機を今年中に発売予定だが、エース経済研究所シニアアナリストの安田秀樹氏は“3つの不安要素”を指摘する。
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「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」は2月から店頭で見かけることがなくなり、5か月が経った7月半ばでも、入手困難な状況にある。発売から4年目に入ったゲーム機が品切れを起こす現象は、ゲーム業界を20年ほど見てきた筆者にも記憶にない異常な現象である。
また、ソニーの「プレイステーション4(PS4)」も需要の増加によって品薄である。ただ、同じ品薄でも、国内の販売はスイッチの週5万台~10万台なのに対して、PS4は多くて1万台後半と台数の差は圧倒的である。新型コロナウイルスは図らずも、国内市場でPSの地位低下を露呈してしまったと言えるだろう。
スイッチの販売好調は、3月20日に発売した「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」とSwitch Liteによるものである。コロナにより旅行や外出が難しくなり、家庭内の娯楽として、無人島のスローライフが楽しめる「あつ森」に需要が集中したためと考えている。
売れるゲーム機はデザインとスタイルで決まる
もうひとつ、一般には気付かれていないが、携帯ゲーム機であるSwitch Liteの効果も見逃せない。統計データがある過去25年の歴史を見ても、販売のトレンドが上方に変化したケースは、「ニンテンドーDS Lite」、「PSP-2000」、そして「Switch Lite」のたった3回しかない。
共通しているのは、デザイン的な変化である。DS Liteはスタイリッシュなデザインで一気に販売を伸ばしたし、PSP-2000も薄型軽量化で人気となった。そして今回のSwitch Liteは前2ゲーム機とは違い、ニンテンドースイッチの良さを引き出した面があると考えている。
世間一般では、ゲーム機は「ソフト」で売れるものと認識されているが、エース経済研究所では「デザイン」と「スタイル(遊び方)」で決まると考えている。
Switch Liteは携帯ゲーム機でテレビには繋がらず、スタイルが限定されている。それがニンテンドースイッチの「いつでも どこでも 誰とでも」の良さを引き出した。そこにコロナによる需要増と「あつ森」効果が加わったことで発売から4年目の異例ヒットに繋がったと考えるのが妥当だろう。