“専属捕手”からの脱却なるか──。今季、オリックスからDeNAに復帰した高城俊人は4試合に出場(記録は7月29日現在。以下同)しているが、いずれも濱口遥大の先発時に限られている。ラミレス監督の起用法は徹底しており、スタメン起用の日にだけ1軍登録され、すぐに登録抹消されるほどだった。しかし、22日のヤクルト戦、29日の巨人戦で2試合連続本塁打を放ち、濱口降板後もマスクを被った。この活躍を受けて、ラミレス監督は他の先発投手とバッテリーを組ませる可能性も示唆している。野球担当記者が語る。
「濱口が打たれたら出番がなくなるわけですから、高城のプレッシャーは半端ないでしょう。しかし、出場はほぼその日に限られているので、普段から濱口をどう生かすかだけに神経を集中できる。打撃面でも相手先発の研究に費やせますし、代打や途中出場の1打席勝負ではなく、先発のため3打席は回ってくる。ラミレス監督の采配は疑問を持たれることも多々ありますが、これほど割り切っての起用は高城に良い影響を与えていると思います」(以下同)
今季の濱口は6試合に先発。スタメン捕手は高城4試合2勝0敗で防御率3.24、戸柱恭孝2試合0勝1敗で防御率3.38となっている。2017年、高城はルーキー濱口の22試合中19試合でスタメンマスクを被り、濱口は10勝6敗(高城先発時は9勝5敗)を挙げた。翌年、高城がシーズン途中でオリックスに移籍。濱口は4勝5敗に終わり、昨年も6勝5敗と期待されたような働きはできなかった。
高城は2016年、山口俊の先発全19試合にスタメン出場。すると、山口は前年の3勝6敗(先発20試合中、高城スタメン3試合で0勝0敗)から11勝5敗と復活。オフに巨人へFA移籍し、今季からメジャーリーグのトロント・ブルージェイズでプレーしている。山口が飛躍を遂げた過程には高城の存在があったと言っていいだろう。
「高城は2012年、高卒1年目の7月から出場しており、当時のエースである三浦大輔もレギュラー捕手を長く任せられる逸材として期待。育成目的もあって自分の登板日には高城を指名していた。しかし、打撃面で伸び悩み、正捕手の座を獲得するには至りませんでした」
昨年は1軍出場5試合でオリックスを解雇されたが、DeNAが手を差し伸べ、1年半ぶりの古巣復帰となった。