「東京にエピセンターが発生しており、いま全力で止めないとニューヨークのような事態になる」
7月16日に国会でそう発言し、その場をどよめかせたのは、東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦さんだ。
エピセンターとは「震源地」のこと。国会で児玉さんは、新型コロナウイルスの変異が早く、国内では「東京型・埼玉型」などの型が発生している可能性を指摘し、感染拡大に警鐘を鳴らした。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。
「東京型・埼玉型は、欧米で猛威を振るって多くの死者を出したウイルスの変異型と考えられます。現時点の国内では、この型は感染しやすいが、重症化しにくいといわれていますが、変異によって凶暴化する可能性がある。エピセンターにはこれまで以上の全国的な警戒が必要です」
現在、東京や首都圏だけでなく、北から南まで全国各地で感染拡大が続く。7月下旬には、札幌・すすきので9人が感染し、合計38人。鹿児島県最南端にある人口5000人の与論島でクラスターが発生し、30人以上が感染した。
国会における発言でにわかに注目のエピセンターについて、血液内科医の中村幸嗣さんが指摘する。
「都市部のなかでも人口が多く、特に密度が高い繁華街がある場所は、どこも次のエピセンターになり得ます」
具体的にはどこが危ないのか。一石さんが「次のエピセンター」を指摘する。
「危惧するのは、緊急事態宣言解除後に感染者の最高記録が出て、周辺にも感染者を増やしている大阪と福岡です。ウイルスは人を介することによって強毒化する可能性がある。特に大阪の感染者の増加は顕著で、変異型である『大阪型』が出るかもしれず、新エピセンターとして心配です。
また最近になって感染者が急増している名古屋市を含む愛知県もエピセンターになり得ます。大阪、福岡、愛知とも人口密度が高いので、さらなる感染拡大が懸念されます」