四国・高知の四万十川や足摺岬にほど近い、土佐くろしお鉄道の中村駅(四万十市)。7月16日夕方、長閑な田舎駅構内がにわかに騒然とした。
「15分後に出発する電車に乗り込もうとした30代の女性を、県の保健所職員が発見して“連行”したんです。3日前から四万十市を訪れていた大阪在住の女性は14日、市内の病院でPCR検査を受けて陽性の判定を受けた後、行方をくらましました。保健所は彼女を血眼になって捜し、大阪行きの切符を持つ彼女を駅で見つけた。間一髪でした。その後、女性は現地の病院に入院しました」(地元紙記者)
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、感染者をできるだけ早く検査で発見して隔離することが大前提だ。ところが、陽性とわかるやいなや、居所がわからなくなる人が後を絶たない。7月10日、小池百合子・東京都知事は「(陽性の検査)結果を知らせると、ぷつりと連絡が取れなくなるケースがある」と明かした。
「法的には強制的に“隔離”することはできません。ただし、23日には、感染発覚後に連絡が取れない人がいた場合、保健所の依頼に応じて警察も出動して居場所を捜すことになりました。それでも、26日には兵庫県で陽性判定を受けた女性の行方がわからなくなるなど、まだまだ不安は拭えません」(全国紙社会部記者)
国の指針によれば、無症状者や軽症者もホテルなどの宿泊施設で療養しなければならない。子育て中などやむを得ない事情があれば自宅療養もできるが、保健所は定期的な健康確認を行う。無症状者でも最低6日は“隔離”されるべきとされる。
しかし、「隔離逃れ」は頻繁に起こっている。4月、岐阜県では施設療養すべきという県の要請を拒否する感染者が相次ぎ、7月には三重県でも同じ事例があった。厚労省によると、「軽症者用のホテルに収容されたホストが逃げ出して行方不明になり、別のホストクラブに“出勤”していた例もある」という。