売春は「人類史上、最古の仕事」などと称されることもある。人権が普遍の価値とされる現代社会では、それは認められない考えに思えるが、実は世界各地で売春を合法化しようとする活動が起きている。そうした声は女性の「権利」や「自由」を訴える進歩的フェミニズムに基づいているのだという。売春問題に取り組む女性ライターRylee Free氏は、そうした風潮に疑問を呈する。
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CNNの番組で、コロナ危機のなかで売春をしている女性たちが、保健当局や女性支援団体から受けたという「アドバイス」が報じられていた。「マスクをして手袋をはめなさい。対面式の体位は避けなさい」、さらに、「ナース服を着て体温計を出します。体温が正常ならプレイしてください。熱があれば、そこで終了します」とまで言われたそうだ。
売春を支持する人たちは、売春する女性を「セックスワーカー」と表現し、起業家や実業家にたとえている。そうした立場でなされた研究によれば、性産業の女性たちは「自分の身体の一部を売っているのであって、自分自身を売っているのではない」と訴えており、心と体をうまく切り離すことで彼女たちは救われるとしている。確かに、性を売る女性は自分の体を人格から切り離された商品として扱っている面はある。体を道具として扱い、心は閉ざし、精神を健全に保とうと必死になる。
アメリカ国内に限らず、女性の独立や自由の観点から売春を非犯罪化しようとする動きは常にあり、そうした活動を支持する人々は、女性が自分の人格から自分の体を切り離せるという考えを持っている。「彼女たちは自分を売っているのではなく、ただセックスを売っているだけだ。セックスワーカーは女性の強さと独立性の象徴であり、被害者ではない」と主張する。
しかし、そうした進歩的と思われているフェミニストたちは、女性の尊厳を向上させようとする自らの努力を踏みにじっている。「セックスワーク」や「女性の社会進出」といった言葉は、売春を正当化し、浄化するために作られた婉曲表現である。商業化されたセックスという邪悪な世界をこれらの言葉で覆い隠すことで、進歩主義者たちはそれが実際にどれだけ有害かを隠してきた。現実には、売春は人間性を大きく奪うものだからだ。
売春する女性たちの心は、体が必死に耐えている頻繁なセックスに打ちのめされている。彼女たちが売春を「有料のレイプ」「レイプされるという契約書にサインすること」「生活のためにレイプされること」と表現していることを忘れてはいけない。性産業に従事する女性が精神的に苦しんでいるのは当然である。9か国854人を対象としたある研究では、面接を受けた売春経験者の68%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準を満たしていた。そして彼女たちは、拷問に耐えてきた退役軍人や難民のような症状を見せた。身体的な暴力は、間違いなく精神と感情に影響を与え、それは私たちの心身が統合されたものであるという現実をはっきり示している。