8月15日から小倉競馬が始まるまで、中央競馬は新潟と札幌という極めて異例の二場開催が続く(京都競馬場の改修工事と東京五輪の予定が影響)。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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《馬券的予言をすると、関東圏の新潟とはいえ、同一条件でやれば栗東組がすべてに圧勝するであろう》
これは先週7月25日付け日刊スポーツ紙連載コラム「言わせてもらう」の一節。筆者は「ニシノ」「セイウン」でおなじみの馬主・西山茂行氏。各記者がそれぞれのコラムで様々な論理を展開している中、これだけ明快で潔い“予想”も珍しい。
そして結果は・・・・「すべて」ではないにしろ、西山氏の予言通り。土日の24レースで17勝、特別レースは土曜が1~3着、日曜も勝ったのは関西馬ばかりだった。出走馬の半数近くである178頭もいたとはいえ、これだけ勝たれては関東を拠点にしている馬主や厩舎関係者にしてみればたまったものではない。昨年の新潟第1週に参戦した関西馬は出走馬の1割強40頭ほどぐらいで、勝ったのは新馬戦と障害の2勝のみだったのだ。
馬券を買う側としても厄介な問題だ。普段関東の競馬場を中心に馬券を買っている人間にとっては、「関西馬」というだけで不気味な感じがするもの。2勝クラス以上ならば関東の競馬場でも何度かお目にかかっていてレースぶりを記憶していることもあるだろうし、重賞ともなれば関東か関西かということ以前に考えなければならないことがある。しかし、これまで関東に遠征したことのない1勝クラスや未勝利馬のレースぶりや相手関係まではすべて把握できていない。
ということで、下級条件のレースに絞って検証してみた。むやみに関西馬ばかり買っていればいいということでもないはず。1週目のデータだけで残り2週を考察するのは、かなり無理があるが、気になる傾向が読み取れた。
注目したいのは前走の着順ではなく人気だ。
「人気」というのは、競馬メディアだけでなく、多くの競馬ファンが様々な視点でレースを検討し、お金を出したうえでの評価が集約されたもの。レース開始前までのその馬の「実力評価」としての信頼度は高い。パドックや返し馬をじっくり見ることができない今ならなおさら重視したいところ。
当該レースで不利があっても次は巻き返せると判断されたり、敗因がはっきりしていてそれを修正してくると期待されたりすれば、人気落ちはない。逆に敗因を曖昧にし「こんなはずではない」と試行錯誤を繰り返して結果が出なければ、徐々に見切られていく。
先週2、3歳の未勝利戦と1勝クラスのレースで3着以内に入った関西馬は26頭いるが、そのうち22頭までが前走5番人気以内だった。その中には人気を裏切って二桁着順に敗れながら、先週新潟でリベンジを果たして勝った馬も3頭いる。この22頭のうち1頭は前走未勝利を勝ち昇級戦でも3着に入っているが、他の21頭は勝っていない。にもかかわらず、そのうち20頭が今回も5番人気以内に支持されていた。関東馬相手なら、あるいは左回りの新潟なら、前走以下ということはないと評価されたのだろう。
前走6番人気以下で先週馬券圏内に入った4頭にもそれなりの理由があった。フローラSで17番人気だったシャレードは6着に入った実力馬であり(日曜8レース1着)、単勝200倍超で3着に食い込んだブライトアイズはフロックではなかったということだ(日曜4レース3着)。残り2頭は前走が初出走、うち1頭は8番人気で7着ながら先週は5番人気(2着)に2着されていたように、2走目で変わり身を見せた。この4頭以外、前走6番人気以下で先週馬券に絡んだ馬はいない。