子供支援専門の国際NGOである『公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン』が2017年に全国2万人の日本人を対象に行った調査では、しつけに対する体罰を容認する人が約57%にのぼっていたことがわかっている。
また、「体罰を決してすべきではない」と答えた43.3%の中でも、お尻を叩く・手の甲を叩くといった罰や、怒鳴りつける・にらみつけるなどの心を傷つける罰については容認する人が一定数存在していた。
『松永クリニック小児科・小児外科』院長・松永正訓さんが言う。
「アメリカやヨーロッパに比べると、日本は圧倒的に体罰が多い国です。その理由は、子供を自分の所有物だと捉える考え方にあると思います。また、子供は親が責任を持って育てなくてはならないという意識が昔から根強いのも特徴でしょう。
しかし、体罰には悪影響しかありません。親に叩かれて育てば、その子も自分の妹や弟に暴力をふるうようになります。親から子へ、自分よりも弱いものに必ず連鎖をしていくのです。
また、体罰や言葉の暴力によって子供の心にはトラウマが生じ、PTSDなどを引き起こすこともよく知られています。さらにこうした恐怖心が子供の脳の一部を萎縮させることも近年の研究で明らかになりました。感情や思考をコントロールする前頭前野の容積が小さくなるという報告もあります」
※女性セブン2020年8月13日号