AKB48グループを卒業し、それまでのアイドルから声優に転身する例が増えている。48グループ出身声優の代表例を挙げるとすれば、まず佐藤亜美菜(さとう・あみな)、秦佐和子(はた・さわこ)、仲谷明香(なかや・さやか)の3人ではないか。
アイドル時代から『森田さんは無口。』や『坂道のアポロン』などのアニメに出演していた佐藤亜美菜は、2014年1月にAKB48を卒業後、本格的に声優の道へ。大人気ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』の橘ありす役で知られている。
同ゲームでは、“総選挙”として、ファンによる人気投票企画が毎年行われており、2020年に実施された「第9回シンデレラガール総選挙」での橘ありすの順位は27位だった。200人近いキャラクターが投票対象になっていることを考えると、なかなかの人気キャラクターと言えよう。
佐藤が2019年2月に結婚を発表したとき、アニメファンから「佐藤亜美菜って元AKBだったんだ」と驚く声が上がったことから、彼女がすでに“声優”として世間に認知されていることが感じられる。
一方、元SKE48の秦佐和子は、声優養成所に通うため、2013年、グループを卒業した。「必ず声優になる」とファンに宣言した通り、地道に出演作を重ねており、人気のメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ)』には若宮イヴ役で出演。声優たちの歌やライブでも人気を集める同プロジェクトで、アイドル時代に鍛えたスキルが発揮されている。
また、元AKB48の仲谷明香は、2013年3月にグループ卒業を発表した際、AKB48の楽曲「ファースト・ラビット」にひっかけて、「AKB48から卒業した人で、『声優』としてのファースト・ラビットになれるように! 頑張ります」と意気込みを示した。2014年2月より放送されたアニメ『ハピネスチャージプリキュア!』では、主題歌「ハピネスチャージプリキュア!WOW!」の歌唱担当に抜てきされ、アニメ本編にもキュアウェーブ/オリナ役で出演。プリキュア声優の仲間入りを果たした。
実はこの3人は、2012年4月より放送されたアニメ『AKB0048』で、“声優選抜”に選出され、メインキャラクターを演じていた。同アニメは、秋元康プロデューサーが企画・監修を担当し、AKB48をモチーフとしたSFアニメ。アイドルにそれほど詳しくないアニメファンにもAKB48に興味を持たせるきっかけとなった作品だが、出演メンバーたちの現在の活動内容からすると、彼女たちに「声の演技」の経験を積ませた意義もかなり大きかったはずだ。