日本国内で日本人第1号の新型コロナ感染者が確認されたのは1月29日。武漢からのツアー客を乗せた奈良県在住のバス運転手だった。
「会社名が発表されなかったことで奈良のバス会社へ問い合わせが殺到し、一部の会社がHPで否定する大騒動になった。勤務先のバス会社は大阪にあったが、初期の頃だっただけに、混乱が生じた」(在阪テレビ局報道部記者)
騒動から半年。運転手はどうしているのか。バス会社に連絡するも留守電が続いたため、本社所在地であるアパートの一室を訪ねると、ドアには社名が書かれているが、カギがかかって郵便物が溜まっている。駐車場には10台のバスが置かれていたが、人気はない。
「従業員は15人ほどの会社だったがいまは社長がたまに顔を出すくらいで、閉鎖状態と聞いている。社名は公表されていないので、運転手にコロナが出たことよりも、インバウンド激減が原因でしょう。第1号感染者の運転手も仕事はないという話だ」(近隣商店の従業員)
コロナの猛威は感染者の勤務先にも、深い爪跡を残していた。
※週刊ポスト2020年8月14・21日号