台湾が香港に置いている外交機関「台北経済文化代表処」トップが香港政府から滞在ビザの更新が認められず、7月中旬に台湾に戻っていたことが分かった。台湾を中国の領土の一部とする「一つの中国」原則に関する同意書にサインしなかったためだ。
台湾側はこの対抗措置として、香港政府の台湾駐在機関の高官2人に対し、滞在ビザの更新を拒否しており、台湾・香港関係は事実上の断交状態となっている。ネット上では「香港は完全に中国の一地方都市になり下がった」との声が出ている。台湾メディアが一斉に報じた。
香港滞在ビザの更新を拒否されたのは同代表処の高銘村・代理処長ら。正式な処長は盧長水氏だが、2年前に処長に任命されたものの、香港赴任に際して、香港政府から、高氏ら同様、「一つの中国」原則に関する同意書へのサインを拒否。それにより、香港での滞在ビザは発給されていない状況だ。
同代表処は経済組、新聞文化組、連絡組などの5部門があるが、香港政府による事実上の追放措置で、これらの5部門の責任者のうち、経済組トップ倪伯嘉組長のみが香港に残ることとなった。今後は同氏が処長代理を務めることになる。
香港政府が台湾側に強硬な姿勢をとるようになったのは、台湾独立を党是に掲げる民主進歩党(民進党)トップの蔡英文党主席が台湾総統に就任した2016年5月以降だ。それ以前の中国国民党が台湾の与党だった時代には良好な関係を保っていた。国民党は中国が主張する「一つの中国」の原則を認めていたからだ。