会社やマンションのエレベーター内で、「ちょっと苦手……」と思っていた人とバッタリ出くわし2人きりに。果たしてここで何を喋っていいのやら、と悩む人もいるのでは──。
「雑談は、得意な人より苦手に思っている人の方が圧倒的に多いんです」と話すのは、心理カウンセラーの桐生稔さんだ。インターネットが普及し、連絡はメールやLINEがメインの昨今、“咄嗟に話す”というスキルが低下しているという。
「雑談とは、読んで字のごとく“雑な話”ですから、本来、どんな内容でもよく、難しく構える必要はありません。ただ、気をつけないと、雑談のせいで人間関係がギクシャクしてしまうことがあるのも事実です」(桐生さん)
雑談の目的は、話の内容よりも場の空気を温めることにある。しかし女性の場合、何か話そうと焦るあまり、自分の話ばかりして、人の話を聞かないケースが多い。たとえばこんなことはないだろうか。
「ウチの子、スマホばっかり見ていてね…」
「ウチもそうなのよ! ちょうどこの前なんて…」
などと、相手が話している途中で、自分の話をかぶせてさえぎり、話題を無理やり奪い取る会話泥棒だ。話し始めた人は、フラストレーションがたまってしまう。
「自分の話は、人の話を最後まで聞いた後に、その話題を引き取って始めるのが鉄則です」(桐生さん)
◆話のネタは誰もが毎日やっていることを
では、話のネタはどう探せばいいだろうか。
「食べること、動くこと、働くこと、お金を使うこと、寝ること。これらは基本的に、誰もが毎日やっていること。この5つに関連する話題を見つければ、話を広げられるはずです」(桐生さん)
たとえば、食べることのネタなら、「外出自粛で子供が家にいると、お昼ご飯の用意も大変ですよね。最近はどんなものを作っていますか?」、動くことなら、「外出自粛が続きますが、最近、運動していますか?」、働くことなら、「コロナ禍で出勤のシフトとか変わりました?」、お金を使うことなら、「自粛で食費が増えていませんか?」、寝ることなら、「暑い日が続いて眠りづらくありませんか?」などだ。
ここで大事なのは、自分の話をするのではなく、相手に質問を投げかけること。それで相手が答えれば、話が広がっていくからだ。
エレベーター内での1~2分程度の雑談なら、質問と回答を2ラリーほどすれば、充分に時間が稼げるはずだ。
「ただし、矢継ぎ早に質問ばかりしていると、尋問のようになってしまうので気をつけてください。自分の話をちょいちょい挟むのがおすすめです」(桐生さん)
※女性セブン2020年8月20・27日号