藤井聡太棋聖(18)の史上最年少タイトル獲得を新聞・テレビがこぞって取り上げた。関係者の間で話題になったのは、初タイトルが「棋聖」となった巡り合わせだ。
「竜王戦が読売、名人戦が朝日・毎日といった具合に、大手メディアがスポンサーを分け合っている。棋聖戦は産経新聞が主催。部数での苦戦もあってか、産経は昨年、囲碁の女流名人戦のスポンサーから撤退している。棋聖戦も主催を降りる可能性が囁かれたが、堪えたおかげで、“藤井くんの初タイトル”に巡り合わせた」(将棋連盟関係者)
初タイトル獲得翌日となる7月17日の産経新聞紙面では、羽生善治九段の独占手記を掲載するなど、大々的に記事を展開。「フジサンケイグループをあげて藤井フィーバーを盛り上げるのでは」(同前)とみられていた。
ただ、テレビとなるとまた別の難題が浮上する。
藤井棋聖誕生の翌日の『バイキング』(フジテレビ系)では、女流棋士と大盤解説という将棋番組さながらのセットまで用意して、藤井棋聖の指し手の凄さを伝えようとした。スタジオでは山口恵梨子女流二段が解説役として登場。藤井棋聖の角の効きが悪いことを指して、
「お家に引きこもっちゃって全く働いてないんですよ。働いてなさ過ぎて、テレワークすらしてない」
と喩えるも、出演していた東国原英夫氏に「ちょっと比喩がわからない」と言われてしまった。将棋ライターの松本博文氏が語る。
「藤井棋聖は熟練者が見ても難しい一手を指します。ワイドショーでは出演者も視聴者も藤井棋聖の将棋がわからないので、何を食べたかといった話題ばかりになるのは仕方ない面もあります」
フジテレビが“勝負手”として期待を寄せるのが来春アナウンサーとして入社予定の竹俣紅・元女流初段だという。14歳で女流プロとなった竹俣は、大学在学中には“美人すぎる女流棋士”としてタレント活動をしていた。2019年に女流棋士を引退し、女子アナに転身する。
「遠藤龍之介社長は慶應大学将棋研究会出身で将棋連盟の非常勤理事も務めている。来年以降も藤井棋聖はタイトルを獲得していくと考えられるので、竹俣が解説役に抜擢されるのではとも囁かれています」(フジ関係者)
竹俣の採用はフジテレビの“妙手”となるか。
※週刊ポスト2020年8月14・21日号